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部会・研究会活動 <若年未就労者問題>
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日本労働研究機構 2000
フリーターの意識と実態 概要 「フリーター」と呼ばれる若者たちの就業行動の実態と意識、その背景を探ることを目的 調査対象 自称「フリーター」で学生でも主婦でもない者、年齢は30歳未満 調査方法 ヒアリングシートを用意した上で、基本的に1対1で1人あたり1時間を目安にヒアリングを実施。101名(男性38人、女性63人)。分析対象はフリーター非該当者を除く97人(男性34人、女性63人)。
úJ.誰がなぜ「フリーター」になるのか フリーターの6割は女性、年齢層は20歳代前半層までが中心 高卒までの学歴が半数強、何らかの中退者が2割 フリーターには「モラトリアム型」「夢追求型」「やむを得ず型」の3類型、細分化すれば7つの類型(契機と意識による分類)
性別では、 男性:「期間限定型」「正規雇用志向型」が多い 学歴では、 高卒以下:「芸能志向」が多い 正規雇用経験者は4割、「離職モラトリアム型」「正規雇用志向型」以外は2〜3割。 フリーターになった背景に、家庭の経済事情・父母の離婚・家族の病気などの事情があるケースが2割弱(倒産・父の病気・介護・離婚など)。 úK.「フリーター」はどのような生活をしているのか 週労働日数は4.9日、月収は平均139,000円。 3分の2が親と同居、同居者の半数以上は何らかの経済的負担。別居者の8割弱は自活。 úL.「フリーター」はどのような就業意識を持っているのか メリット:自由・時間の融通がきく・休みが取りやすい・様々な経験ができる デメリット:収入が少ない・社会に認められていない・不安・不安定 やりたいことがあるフリーターとないフリーターを区別して評価 やりたいことがあれば正社員でもフリーターでもこだわらない úM.キャリア形成・能力開発の問題はあるのか 多くの者に将来のキャリア形成への意識はあるが、消極的な現状肯定者や、具体的で有効な取り組みのない者も。 フリーターの就業職種は限定されており、基本的なソーシャル・スキル以外の職業能力形成に結びついている場合は少ない。 希望職種の就業可能性、学校入学後の入職可能性、資格取得の効果などに関する認識は必ずしも十分でない 20歳代後半にはフリーターに限界を感じ、「焦り」も。女性には職業キャリアへのこだわりのない者も。 úN.学校から職業への移行の仕組みに問題があるのか 高校時代には進学者・就職者とも、職業選択についての意識が不明確。 高校時代からフリーター志向の者は「夢」ありタイプと「やりたいこと」が定まらない限り進学も就職も選択しないという2つのタイプに。現実的なキャリア形成という意味では問題を抱えている。 進学に偏らない進路指導、企業人の関与、詳しい職業情報、早期の段階からの進路指導などを求める声も。 úO.求められる支援 職業意識の啓発 小中高を通じての総合学習・職場体験による職業観の育成と職業選択能力の向上 高校生インターンシップなどの勤労体験学習の普及 職業ガイダンスの充実 新卒者・既卒者対象の専門相談・紹介期間の増設拡充 フリーターから正規雇用への移行支援が必要 教育訓練制度の活用による就職促進 (文責:内田龍史) |
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