調査研究

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2008.1.9
部会・研究会活動 < 近代日本とマイノリティ>
 
近代日本とマイノリティ
< 近代日本とマイノリティとは>
 本研究会は、「都市下層と部落問題」研究会(2004~2006年度)の成果を踏まえつつ出発した。前研究会の成果は、論集(黒川みどり編著『〈眼差される者〉の近代―部落民・都市下層・ハンセン病・エスニシティ』解放出版社、2007年)にまとめたが、そこにご執筆いただいた9名に加えて、本研究会では、研究領域を拡大しかつ多様な視点を取り込むべく新たな参加者を得て、論集でカバーできなかったジェンダー、沖縄、在日朝鮮人・中国人などにも対象を広げつつある。現在約20名ほどの研究者が集い、前研究会と同様、歴史学が核になりながら科学史、文化人類学、社会学等にまたがる学際的な研究会を行っている。

 前研究会の成果論集をまとめるなかで、いくつかの課題が浮かび上がってきた。各々の研究を括るキーワードとして用いた排除と包摂、表象と主体化についても、論者によってそのそもそもの理解に違いがある。また、たとえば近代の多様なマイノリティを結ぶ重要な視角である人種主義(racism)についても、近年の研究をふまえながら、メンバーが一定の共通理解に立つ必要があると思われる。それゆえ目下、個別報告と織り交ぜながら、それらについても議論を進めている。

 本研究会では、近代日本(植民地、占領地を含む)という空間のなかで時代や対象を絞り込むことはあえてせず、今後議論を重ねることによって、そこから共通の視点を見出すことをめざす。個々のマイノリティについては、近年、研究の進展が著しいが、それら相互の関係や近代社会のなかでの見取り図は、ひろたまさきが1990年に提示して以来(ひろた『差別の諸相』〈近代日本思想大系〉2、岩波書店)、新たな提起はみられない。本研究会は、近代成立期から戦後までを見すえつつ、その課題に迫りたい。