今回の食肉業・食肉労働プロジェクトでは、食肉労働の実際について、教育実践を行っているビデオを観賞し、今後の学校での教育実践の可能性について議論を行った。教育実践の内容は、南港市場職員労働組合書記長の岩本俊二さんが、1996年度・97年度の2回、大阪市立大国小学校にて、5年生を対象に行ったものである。
まず、先にビデオを観賞していた中島順子(滋賀県立大学)さんから、ビデオの内容について報告いただいた。教室内の様子については、南港市場内の仕事の写真や、作業に使うナイフの実物が並んでおり、それらを資料として作業工程が詳しく説明されていた。2年目になると、それらに加えて牛1頭分の図、作業服、ワイヤーなどの実物が加わっていることなど、授業実践での工夫が見られた。さらに、子どもからの質問に答えた後に、差別や仕事に対する想いが語られていたことなどが解説された。
ビデオを観賞した後、岩本俊二さんから当時の実践を振り返っての感想を述べていただいた。当時の実践は、と場差別・部落差別について、子どもたちにどのように伝えればよいのか、95年から1年かけて、子どもたちに接する先生に対して、資料集めや話し合いをさせてもらったうえで、96年にスタートすることができた。部落差別の問題に関わって、差別をしたらあかんということ、いじめをしたらあかんということを、子どもの目線に近いところに立って、できるだけわかりやすく子どもに伝えたつもりだ。最後に、学校での実践を行う際には、学校の先生方がどのくらい理解があるかにかかってくるので、今後は学校の先生にいかに理解を広げて行くのかが重要な課題となることが指摘された。
(文責:内田 龍史)
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