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2008.01.28
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第2次食肉業・食肉労働に関するプロジェクト
2007年9月15日

1.「中道小学校での実践」
2.「住吉小学校での実践」

1.足立須香(大阪市立御幸森小学校)
2.川口昌子 (大阪市立住吉小学校)

〈第1報告〉

 以前から学校現場で、絵本『もーおーうしです!』(解放出版社)には取り組みたいと思っていた。作られた経過、講演を聞いたりして、奥の深い、広がりのある教材だと思っていた。しかし、地域に部落がない学校だったので、どこから入ったらいいのか悩んだ。

 昨年度、小学校1年生を担任したが、子どもたちは、給食の時に好き嫌いがある。家庭環境はそれぞれあるが、食べることは一緒、給食をテーマにしたい。そこで、絵本『いただきまーす!』(解放出版社)の実践を行った。ある子どもが、「牛さんは、どんなふうにしてお肉になるの? 教えて欲しい。」と言った。解体の場面をどう教えるのか迷いがあったが、『きみの家にも牛がいる』(解放出版社)という絵本の力を信じて、読み聞かせをしようということになった。子どもたちは牛の解体の過程もじーっと聞いて、納得したような感じだった。そして、その内容で劇の練習をし、学芸会で発表を行った。

 子どもたちには脂身が嫌いな子が多いが、美容にいいコラーゲンだと言うと、奪いあうように食べるようになった。給食が残ることがなくなった。給食に時間がかかる子がいた。他の女の子が、「残すと牛さんの肉がごみになる、食べたら体になる」と言うと、その子もパクッとを口に入れて食べた。牛さんがかわいそう、という意見もあるが、食べられないと私たちは生きることができない。私の中で命を活かしていくんだ、という意識が根付いたのだと思う。

 他にも、絵本を家庭にまわして読み聞かせをしてもらったり、ゲストティーチャーを招いてハムを作るなどの実践を行った後、ランドセルを作っている保護者がいたこともあり、地域にあったランドセル工場の見学につなげていった。そこでは、「大事な牛さんの革を扱っている。人の体に当たる大事な部分は手作業で革を使っている」と言ってくれた。学年だよりにも掲載し、保護者にも一緒に考えてもらった。

〈第2報告〉

 小学校では、3年生で地域のことに関わってくる。解放子ども会がなくなってから部落のことを知る機会がなくなっており、保護者のあいだで認識しなくてもいい問題だというとらえ方があったり、子ども自身が部落の子だと知らない場合もある。

 5年生での部落問題学習を行うとき、家庭訪問の際に部落のことをどう教えて行くのか、親に聞き取ったりする。保護者からは「私のことどれだけわかってんの?」という反応や、子どもは「わかってると思います」という反応が多い。ところが、子どもたち自身は部落のことについてわかっていないことが多い。

 住吉は地場産業がない。行商の部落なので、中に入っていったらわかる、というものでもない。そこで『もーおーうしです!』を使った実践からはじめた。食は子どもの関心が高い。子どもたちは、店の裏手に牛を解体するところがあるんじゃないか、という感覚を持っていた。インターネットで調べると、店で作るんじゃない、ということがわかった。「かわいそう」という子もいる。「肉を食べなければ牛を殺さなくていい」という子もいた。では、牛からできるものは何か? 牛からできているいろいろなものを子どもたちの前に並べ、「これらはすべてが牛からできている、手術の糸にもなる、牛がかわいそうだ、ということは手術もできなくなる。食べる、食べないだけの問題ではない」ということを学んでいった。

 食べることについては、3年生の時にかすうどんを食べている。おいしくないという子どももいた。脂かすと水菜の煮物を作って食べた。全員がおいしいと言った。どんなものも無駄にしない、ということを知ると、おいしいと感じるようになる。部落の保護者も、脂かすを食べていることなど、昔は一般の人とは話をしなかったのに、今は学校で食べたりするのか、という反応もあり、話題が広がっていった。

リバティ大阪に部落出身の青年が話をしているビデオがある。6年生のときに転向してきた子どもがいて、それに見入っていた。「何で部落の話を見るの?」とたずねると、部落のことは「○○(※部落の子どもの名前)のことだけれども、みんなのこと。みんなが考えないといけない問題だ」という反応だった。

(文責:内田龍史)