〈第1報告〉
今回の報告は、以前に所属していた大阪市立住吉中学校の実践のまとめになる。中学校の教科の中で、家庭科の分野の中で食教育と人権教育をどのようにつなぐのか、ということを課題として取り組んできた。食教育の中で、ところどころに食肉産業とつながることがある。
もともと技術の教員であり、家庭科についてはまったく素人だった。男女共修で家庭科を担当することになり、実践では、子どもができるだけ興味をひく、原料についてわかっていく、生活に役に立つということをこころがけ、実習をしながら、調理学・栄養学などを学習していった。
住吉中学校に給食が実施された時、残飯を利用することを考えた。余った牛乳を使ってチーズケーキを作ると、子どもたちにヒットした。レシピを教えてくれ、となった。おいしいものを追及して作ったら、子どもは作ってみようという気になる。一から自分で調べたり、自分で学習するスタンスを持つようになる。そのことが、学力をつける上では一番大事なことではないか、「楽しい・おもしろい・おいしい」ということを経験させることが大事なことだと感じた。
テレビで放送された『牛肉の旅』という番組を見せた後で、ソーセージを作る実践をした。子どもたちは、「かわいそう、あんなん食べられへん」と言いながら、ステーキは喜んで食べている。そこには日本の文化とヨーロッパの文化のちがいがある。こうした文化の違いを考えることと差別問題を考えることがつながっていくのではないかと思う。
〈第2報告〉
栄小学校の全体の流れとしては、1年生は保育所との交流、2年生は地域の高齢者の方との交流、3年生では、浪速神社のまつりをとりあげている。そこから総合的な学習として、ゲストティーチャーの方を招いてお話を聞く実践を行っている。4年生では、地域学習と、浪速の地域の伝統産業である太鼓店の見学をする。5年生では、絵本『もーおーうしです!』を使う。それらをきっかけに、モノづくりをとおして皮革のことについて学ぶ。6年生では、『人権・太鼓ロード』のフィールドワークをする。栄小学校の特徴は、「心に響け浪速のまちへ」という学習発表会のなかで、学習発表を必ず行うようにしていることである。太鼓づくりの流れを押さえた上で、最終的には太鼓の演奏を行ったり、栄発『もーおーうしです!』という実践をしている。
1年生から3年生まで使う、地域のことを学ぶ副教材として、『わたしたちの町「なにわ」』を使っている。そこで食肉産業・労働のことについて触れてはいるが、それほど多くはない。
(文責:内田 龍史)
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