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2007.07.10

拷問被害者の支援のための国際デー
2007年6月26日
拷問は、いかなる状況のもとでも決して正当化されない

マレーシア:
拷問等禁止条約とその選択議定書に署名、批准し、実施するよう要請します。

拷問被害者の支援のための国際デーに、世界拷問防止機構(OMCT)およびスアラ・ラクヤット・マレーシア(SUARAM)は、マレーシア政府が拷問等禁止条約およびその選択議定書に署名、批准、実施して、拷問およびその他の形態の虐待を廃止することを誓うよう要請求します。

国内安全法(ISA)等のもとで拘禁されている人々に対する拷問および虐待行為は今もって、マレーシアの各地から報告されています。さらに、移民法のもと不法入国や超過滞在で有罪とされた非正規移民、難民、および庇護希求者は、厳しい処罰の対象とされています。

2004年2月、ジェーマ・イスラミーア(JI)のテロリストと申し立てられ、ISAのもとカムンチン収容所で収監されている31人は、59種類の精神的および身体的拷問を行ったとして、警察を訴えました。それら拷問には、睡眠させずに24時間連続取り調べる、裸にして取り調べる、空き瓶に排尿させる、取調官の唾を強制的に飲ませる、ひげを剃りおとしたり燃やす、紅茶をつくるよう命じる、マッサージをさせる、家族を逮捕すると脅す、蹴ったり殴ったりするなどの行為が含まれていました。政府を相手取った民事訴訟で、マレク・ハッセンさんは、裸にされ、殴る蹴るの暴行をうけ、悪水を飲まされ、性的虐待を受けたと話しています。

これらの事件は氷山の一角にすぎません。政府はそのような行為を否定している中、拷問被害者が拷問、特に拘禁中の拷問を立証することは非常に困難です。

ISAは、1940年代1950年代に共産主義者の反乱を鎮圧するために作られた非常事態法を引き継ぐ形で1960年に制定されました。それ以来、ISAは「マレーシアの安全を害する」行為、あるいは「不可欠な行政サービスの維持」や「経済生活」を脅かす行為に関与した人々に対して使われてきました。政府はいかなる行為がこれらの範疇にあてはまるのかを決定する裁量をもち、法律をこじつけて解釈しながら、ISAのもと良心の囚人、労働組合員、教員、宗教活動家、労働者など多くの個人を拘禁してきました。被拘禁者は取調べのために最初の60日間は特別警察署に拘禁され、その間、司法機関の命令は必要とされません。

マレーシアの移民法では、難民、庇護申請者、あるいは悪徳な人材派遣会社や不正な雇用者のために非正規の移民になってしまった人たちは、すべて旅券または労働ビザのない「不法移民」として扱われます。さらに2002年、マレーシア政府は移民法を改正し、有罪判決を受けた非正規移民の臀部への鞭打ち刑など、違反者に対する重罰をあらたに科すようにしました。

マレーシアが拷問等禁止条約およびその選択議定書を批准していません。そのため、人権理事会の理事国であるマレーシアは拷問と免責の文化を許容していることが明らかになりました。

OMCTとSUARAMは相次ぐ拷問・虐待の報告とそれに対する当局の不十分な対応を強く懸念します。6月26日のこの日、OMCTとSUARAMは、マレーシア政府が拷問等禁止条約およびその選択議定書に署名、批准、実施することで拷問を廃止することを約束し、国内法および国際人権法の基準に従って人権尊重と基本的自由を保障するよう要請します。