<目次>
はじめに
- 職業および世系に基づく差別を経験している社会
- インド
- スリランカ
- ネパール
- 日本
- パキスタン
- 女性および子どもに対する侵害
- 最終意見
はじめに
1.その第52会期にて、人権促進および保護に関する小委員会は、決議2000/4で、職業および世系に基づく差別は国際人権法で禁止されている差別の一形態であり、Mr.RajendraKalidasWimalaGoonesekereに、財政支出を伴うことなしに、以下の目的のために、職業および世系に基づく差別の問題についてワーキング・ペーパーを作成する任務を託すことを決定した:
- 職業および世系に基づく差別が実際に継続して行なわれているコミュニティを特定する。
- そのような差別を廃止する既存の憲法上、法律上および行政上の措置を検討する。
- そのような差別の効果的撤廃のために、そのような検討に照らして適当と考えられるさらなる具体的な勧告および提案を行なう。
本報告書はその決定にしたがって提出される。
2.世界人権宣言は次のように述べている:「すべての人は、自由に、そして尊厳と権利について平等に生まれている。人は、理性と良心を授けられており、互いにきょうだいの精神をもって行動しなければならない」(第1条)。第2条は、人は皆、“人種、(皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上やその他の意見、)民族的または社会的出身、財産、生まれその他の身分”による、どのような種類の差別も受けることなく、すべての権利と自由を得ることができる、と明白に述べている。
3.したがって、その他の形態の差別と同様に、すべての人が平等の立場ですべての権利と自由を認められ、享受し、行使することを、取り消したり妨害する目的をもった、あるいはそのような効果をもつ、職業および世系に基づくあらゆる区別、排除、制限あるいは優先は、国際人権法の精神に、そして文字通りの意味で対立する。
4.市民的及び政治的権利に関する国際規約は、すべての人は“いかなる差別もなく”法律の平等な保護を受ける権利があると認めている(26条)。あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約は、“世系”に基づく差別を明確に禁止していて、人種差別撤廃委員会(CERD)は、それを、もっぱら人種だけではなく、部族やカーストの差別も同様に意味すると解釈してきた。その一般勧告XIVで、CERDはこう述べた:「ある行為が条約に反する効果を有するか否かを決定しようとする際、委員会は、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身によって区別される集団に対して、その行為が正当化されない異質の影響を有するか否かを検討するよう意を払うであろう。」
5.経済的、社会的、及び文化的権利に関する国際規約は、すべての者が“自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる”ことができる権利を認めている(第6条1)。
6.1958年のILO差別待遇(雇用および職業)条約(第111号)は、国家に、“雇用や職業にいて、人種...国民的出身又は社会的出身に基づく差別を撤廃するよう求めている。1960年のユネスコ教育差別禁止条約は、“人種、国民的あるいは社会的出身、経済条件あるいは出生”を基にした教育における非差別の原則を断言している。
7.職業および世系に基づく差別は、世界の多くの社会において長年続けられてきた慣習であり、世界人口の大きな部分に影響を及ぼしている。世系に基づく差別は、カースト(あるいは部族)による区別において最も明白に表われている。出生によって決まるこれら区別は、市民的、文化的、経済的、政治的および社会的権利の全分野を横断する深刻な侵害を起こしている。さらに、ある人の仕事や職業の性質は、しばしばその人に対する差別の根拠となったり、あるいは差別の結果となっている。社会で最も望まれない仕事に就く人々は、しばしば二重の差別の被害者である。まず、なさねばならない仕事の性質(特質)に苦しめられ、次に、嫌がられている仕事を行なっているために諸権利を否定されて苦しむ。大抵の場合、ある人の世系は、その社会でそれらの人びとが与えられる仕事の種類を決定したり、密接に関係している。世系に基づく差別の被害者は、身体的外見や人種の違いが理由ではなく、その社会の他の集団から社会的および職業的に隔離されてきた同族結婚の社会集団の一員であることが理由で被害者として選ばれる。
I.職業および世系に基づく差別を経験しているコミュニティ
8.職業および世系に基づく差別の実例は、多くの異なった社会的および文化的情況において明らかにされてきた。そのような差別の表現としては、社会的あるいは職業的に規定されている集団間の婚姻の禁止;コミュニティの物理的隔離;土地、水、その他の生産手段など、資源へのアクセスの制限;食糧や家庭用具の共有など、身体的接触に関する社会的禁止;教育へのアクセスの制限あるいは教育施設での分離;宗教的建造物への出入りの制限および宗教儀式への参加の制限などが共通して含まれている。職業および世系を基にした差別は、少なくとも人口の一部がカーストの伝統に影響を受けている社会で最も広域に広がっており、その中にはバングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカのアジア諸国が含まれる。
A.インド
「国内人権委員会および国連総会は、カーストは制度であり、重大な人権侵害の根源となっていることを認識すべきです。したがって、それは、人種主義と人種隔離の存在や働きと同等に扱われなくてはなりません。カースト制度と等しく忌まわしい不可触制の実践を、インド社会、国際社会そして行政機関は深刻に受け止めなくてはなりません。」−ダリット人権侵害に関する国内公聴会の陪審の中間所見および勧告、チェンナイ、2001年4月。1
9.1937年、学識高く尊敬を集めたインドのリーダー、B.R.アンベドカル博士は、当時のインド社会にある大きな社会的不公正、すなわちカースト制度は、ヒンズー教典にその起源があると考え、彼が生まれた時より信仰してきたヒンズー教を捨てる重大な決意をしたことを公表し、不可触民−あるいは彼が呼んだダリット−彼自身も不可触民である−の権利擁護を唱えた。インドの精神的リーダーであり、不可触民の苦境に心を動かされたマハトマ・ガンジーは、数百万のインド人に対するその他のインド人のすさまじい差別の原因をヒンズー教に求め非難することには消極的であった。アンベドガル博士に対する回答としてガンジーは次のように述べている。
「カーストは宗教とは関係がありません。それは習慣であり、私はその起源を知りませんし、私の精神的渇きをいやすために知る必要もありません。ヴァルナの法は、私たち一人ひとりに先祖の家業を継いで扶持を稼ぐように教えています。
それは私たちの権利ではなく、義務を規定します。それは、職業に貴賎はないということにもなります。すべては優れていて、合法的であり、地位において完全に同等です。」2
10.指定部族と後進諸階級の政府の公職の留保に関するマンダル委員会は、カースト制度に関する1980年の報告でこう述べた;「神が人類のために定めた社会的身分とそれぞれの務めは、不変不動であり続けるよう意図されていた。ちょうど人間の体の四肢のように、それらは場所や機能を適切に交換できない。」3
11.カーストがヒンズー教典から由来している、いないの論争に、これ以上の時間をかける必要はない。なぜなら、インド10億人口の85パーセントがヒンズー教徒であるからだ。わずか数百万人がアンベドカル博士の後に続いて仏教徒になった。さらに少ない人数がキリスト教やイスラム教の改宗者となった。インドは階級ではなく世系あるいは職業を基にした階層社会あるいは区分社会である。そのような社会は何千年もの間続いてきた。法務大臣であり、制憲議会の憲法起草委員会の委員長でもあったアンベドカル博士は、すべての市民に公正と地位および機会の平等を保障するという前文の約束の実現を目指した数々の憲法の条項に貢献した。
12.不可触民とは別に、その他に基本的人権を十分に認められていない層がインド社会にあり、指定部族やその他の後進諸階級としてグループ分けされている。彼(彼女)らは数百万人に達する。指定部族は、社会的、宗教的、言語的および文化的特質などの部族的特徴により区別される。加えて、彼(彼女)らは一定の地理的地域に集中している。彼(彼女)らは特別待遇を受けて当然であると公式に認められているが、彼(彼女)らに対する政策は、彼(彼女)らの状況に改善をもたらすことであり、同時に、彼(彼女)らの特色を保護して自治の手段を与えることである。その他の後進諸階級の場合、その特徴に適合する人たちを特定することにまず困難がある。4
13.彼(彼女)らは、経済的に貧しく、教育の機会のないすべての宗教的マイノリティを含むように思える。マンダル委員会の報告は、3,743のサブカーストを社会的および教育的後進にあると特定し、その他の後進諸階級は人口の52%を構成していると報告している。それは、人口の22.5%を占める別の分類である指定カースト/指定部族に加えた数字であった。ダリットは、自分たちの人口は1億6千万人で、全体の19%を構成していると推定している。指定部族およびその他の後進諸階級の差別は、それが存在しているところでも、職業や世系に基づくとは厳密に言えないため、本調査は彼(彼女)らを含めていない。
14.世系や職業を基にした差別を受けている人々は、異なる名前を与えられてきた。公式用語は、“不可触民”“最下層民”あるいは“指定カースト”であった。ガンジーにとっては、彼(彼女)らは“ハリジャン”すなわち“神の民”であり、“不可触民”ではなかった。今日、彼(彼女)らはダリット、すなわち“抑圧された人々”あるいは“うちひしがれた人々”として知られている。
15.ヒンズー社会は4つの階級からなるカーストの序列、すなわちバルナを認めている:ブラーミン(司祭および学者);クシャトリヤ(統治者および軍人);バイシャ(商人および農民);そしてシュードラ(奴隷階級)。最下位のカーストのシュードラは、高位のカースト、すなわち“再生族”に仕える人々と見なされている。奴隷として仕えることは彼(彼女)らの紋章であり、それによる尊厳の喪失であった。一部研究者によれば、それぞれが行なう仕事に応じて上位シュードラと下位シュードラがあった。職人、大工、床屋、洗濯夫、その他類似した仕事につく人々は前者に属し、清掃夫、ゴミ収集、靴修理、火葬作業、皮革労働者、農業労働者、トディ採取作業者*など汚れた仕事に従事する人々は後者に属した(*飲料に使われる椰子の樹液を採取する男たち)。シュードラの一番下にいると見なされる人々は実際にはシュードラではなく、カースト制度の外にいる不可触民または“アウトカースト”であり、異なる第5のカーストを成している。
16.上位カーストの考えでは、不可触民は自らの仕事によって汚されていて、接触によって他者を汚すために、いかなることがあっても避けなくてはならないとされた。次のような一つの推論がマンダル委員会により指摘されている:「カースト制度の本当の勝利はブラーミンの最高位を守ることにあるのではなく、下層カーストの意識を、物事の自然な秩序の一部として、儀式的序列における彼らの低い身分を受け入れさせることにある。」5
17.不可触制は次のことを表わす:「不浄および穢れの観念。それは特定の社会宗教的無資格性の意味を内包する。それは、厳格なインドのカースト制度により承認された習慣や慣行を含み、それにより、指定カーストに属する人々は、ヒンズー寺院、公共の場所、街路、公共の交通機関、食堂、教育機関、その他に入ることを禁じられた」6。その他にも不利な条件がある−村のコロニーにおける隔離、土地の権利の否定、低賃金の肉体労働、例えば床屋や洗濯夫によるサービスや医療および教育へのアクセス拒否。不可触民は、最下位の儀式的身分にあり、大抵、経済的に最も窮乏の状況にあるカーストに属している。
18.時の経過とともに、職業は変化してきた。多くのダリットは現在土地なし農民として農業に従事しているが、それはこの仕事が常に誰にでも開放されていたからだ。しかし、カーストの伝統にしたがって門戸が開かれていないその他の職業の場合、そうではない。それは、単に、ダリットに対して積み重ねられる侮辱であるだけでなく、彼(彼女)らを抑圧された人々にしてしまうものでもある。彼(彼女)らが受ける社会的追放と経済的剥奪のため、彼(彼女)らが権利を主張すれば、しばしば、その社会にある最も深刻な形態の迫害−殺害、切断、レイプ、放火、財産の破壊、およびその他の形態の暴力(時には、残念ながら州の代理人による)−の犠牲にされる。
19.インド政府は不可触制の実践を禁じるためにいくつかの措置を講じてきた。まず第一に、そして最も重要なこととして、政府は問題の存在を認めてきた。第ニに、政府はそれに対処するために決然とした態度で努力を行なってきた。インド憲法は、その権利の章典(第3部)で、すべての市民に基本的な市民的・政治的権利と基本的自由を保障することとは別に、カースト差別の実施に向けた次のような特別な規定を有している:
- 第15条は、店、食堂等への出入りや、井戸、道路、州の資金で維持されている公共の場所の使用に関して、カーストに基づく不利な条件に服従させることを禁止している。
- 第16条は、州の雇用に関してカーストや世系を根拠にした差別を禁止している。
- 第17条は、不可触制を廃止して、いかなる形態であれそれを実施することを禁止している。
- 第23条は、公共目的で義務的奉仕を課す場合、カーストを根拠にして強制労働を強いたり差別することを禁止している。
- 第29(2)条は、カーストを根拠にしたあらゆる教育機関への入学の拒否を禁止している。
- 不可触民に対する過去の不公正による不均衡を是正するため、州に課されたポジティブな義務もある。第15(4)条は、指定カーストを含み、社会的および教育的に後進しているあらゆる市民の進歩のために、州が特別の規定を設けることを許している。
- 第16(4)条は、州サービスにおいて適切に代表されていない後進諸階級の構成員に、州が公職を留保することを許している。
20.第15(4)条と第16(4)条は、有益な差別あるいは保護的/代償的/優先的差別、簡単に言えばアファーマティブアクションを認めている。事実、国の統治において、国家は国家政策の支配的原則(第46条)により、“国民の弱者層、とりわけ指定カーストおよび指定部族の、教育および経済的利益を特別な配慮をもって促進し、彼(彼女)らを社会的不公正やあらゆる形態の搾取から保護する”よう課せられている。しかし、これら条項の実施において、行政の有効性を犠牲にしてはならない(第355条)という点に注意する必要がある。
21.カースト差別を扱っているその他の憲法の条項は、次の通りである:
- カーストを理由にした公民権剥奪を禁止している第325条
- 連邦および州の立法部における指定カーストおよび指定部族の席を、各州の選挙民における指定カーストの人口に応じて留保するよう規定している第330条と333条
- 指定カーストおよび指定部族のための国民委員会の任命の権限を委託している第338条。委員会はすでに任命されていて、指定カーストに提供される保護手段に関するすべての事項を調査してモニターしている。
- 各州および連邦統治地域(ユニオン・テリトリー)で作成されたリストを使って、指定カースト、すなわち不可触民の合法的特定化を可能にしている第341条。リストは、大統領が公表すれば、指定カーストと見なされているカースト内でのカーストやグループに関して最終となる。現行の州と連邦のリストをすべて合わせれば、1,000以上のカーストが含まれるが、同じカーストが異なる州のリストに出ている事実を考えれば、76の指定カーストという推算が恐らく妥当であろう。
22.憲法条項を補強するために、インドは次のようないくつかの法律を可決してきた:
- 1973年の修正で強化された市民的権利の保護(反不可触制)法(1955年)は、寺院への立ち入りを禁止したり、その人のカーストを基に侮辱するなど、不可触制を守る結果となるような犯罪を罰している。
- 債務労働(廃止)法(1976年)は、高位カーストである雇主への借金を完済するために、奴隷のような状態で働く労働者を、未払いの借金を帳消しにしたり、新しい束縛の取り決めを作るのを禁じることで、解放することを目指している。
- 指定カーストおよび指定部族(残虐行為防止)法(1989年)。この重要な法律は、国のあちこちで無力なダリットに対する暴力の再発率が高いために必要とされた。女性に対する暴力、ダリット所有の土地の不法占有、火事による被害、そして財産の破壊を含む18の残虐行為がリストに挙げられている。刑法では禁固10年の刑罰を伴う犯罪も、指定カーストの構成員に対して犯せば、終身の禁固刑で罰することができる。それらの犯罪は裁判管轄権内にあり、保釈は認められない。審理を迅速に進める特別法廷と、ケースを指導する特別検察官がいる。1999年、この法律のもと、調査方法を強化して、被害者に補償金支給をもたらすルールが規定された。
- 手作業による糞尿処理員の雇用と乾燥便所架設(禁止)法(1993年)。職業および世系に基づく最も悲惨な差別に対処するために特別な法律が必要であると考えられた。最も原始的な方法を使って乾燥便所をきれいにする仕事についている人が、女性を中心に、80万人いると推定されている。法律自体、これを“人間性を奪う慣習”と説明し、乾燥便所を水封便所に変えることを義務づけることを意図している。法律実施のために、SafaiKaramcharis国民委員会が任命された。その1997年の報告で、委員会は、手作業の糞尿処理員は、“進歩の主流から完全に切り離されており、今もって最悪の抑圧と侮辱に置かれている”と述べている。さらに痛ましいのは、手作業による糞尿処理は現在でも、大部分は、世襲制の職業であるという事実だ。Safaikaramcharisは、疑いなく、人口の中で最も抑圧され不利な境遇におかれた層である。7手作業による糞尿処理員を、他の不可触民が不可触と考えているという証拠が残念ながらある。
- 土地無しの人々に土地を再配分する土地改革法
23.それは、インド政府が取ってきた行動の感銘的なリストである。改善があったのは疑う余地のないことで、称賛は恐らく国内人権委員会、女性のための全国委員会、指定カーストおよび指定部族委員会、そしてSafaiKaramcharis全国委員会に送られるべきだろう。カルナタカ州、グジェラタ州、アンドラ・プラデシュ州、そしてオリッサ州におけるミクロ規模の調査は、学者に次のような結論を下すに至らせた:
「その他の制度のように、インド社会におけるカーストと不可触制を基本にした差別は、変化をくぐりぬけてきた。不可触制の実践と結果として出てくる差別は、例えば、パンチャヤットのオフィス、学校、公道の使用、公共交通機関、保健および医療サービス、店舗でのサービス(商品購入)、そして、大きな村や都市部にある洋服仕立て屋、床屋、食堂、茶店などで提供されるサービスなど、公共の空間において減少してきた。しかし、ここに及んでも、差別は様々に微妙な形で広がっている。」9
24.都市部でダリットを遭遇する差別は隠されていて見えないというなら、ダリットの4分の3が住む農村部は、公然とした差別があらゆる形態でかなり広がっていることになる。全体像は重苦しい。学校教育では、指定カーストとそれ以外の残りの人口の間に、著しい識字上のギャップがある。大学で留保されている割り当ては、特に技術や職能コースにおいて、埋められていないと報告されている。教員職とカースト群房(?)における指定カーストの代表は乏しいと伝えられる。土地最高限度法のもとで約束されたにもかかわらず、指定カースト間には不適切な土地の配分が行なわれてきた。債務労働の不名誉は、多数の子どもも含み、まだ数百万人にのしかかっている。手作業による糞尿処理の忌まわしい職業は、ごくわずかな州を除き続いている。報告を信じるならば、絶対的な必要性から乾燥便所をきれいにするのは自分たちの運命だと考えるこれら不幸な人々のために、労働条件を改善する真剣な努力は行なわれてこなかったことになる。
25.政府の雇用や教育における割り当ての留保は、カーストだけが基準になるのか、あるいは、カーストと経済的ニーズを一つにして考えるべきなのかの決定を迫られる難問になってしまった。州の雇用における割り当ての留保は、清掃作業員、歩兵、事務員などの低い職種で埋められている。割り当て不在の中、防衛軍、科学関係の官庁、そして司法には、ほとんど代表はみられない。資源の分配について何も政策がなかったため、指定カーストは、独立から50年、国が遂げた経済発展から恩恵を受けてこなかった。急速に成長しつつある民間セクターで、指定カーストの人々が進歩できる機会は何もないように思える。
26.一方、残虐行為はほぼ日常的にダリットに対して行なわれていて、処罰を受けないまま見過ごされている。こうした行為は、主にダリット組織により、調査され、ぞっとするような詳しい内容でいくつかの出版物に紹介されてきた。10法律はある、しかし、法執行官がもつカーストの偏見や、加害者の高位カーストに示す服従のために、彼らの側にアクションを起こす意志が明らかに欠如している。ケララ州対AppuBalu事件において最高裁判所はこう述べた:「指定カースト/指定部族法における事件の75%以上は、あらゆる時点で放免されて終っている」11。驚くことに、殺人、レイプ、手足切断、放火などの残虐行為は孤立した行為だけではなく、高位カーストに雇われた市民兵による集団の野蛮行為さえある。12これら犯罪を処理できない警察や裁判所の不能は、若いダリットたちに武装グループのNaxalites(ナクサライト)を結成させるような強い反発効果をもたらしてきた。
27.インドの現状は、全国指定カーストおよび指定部族委員会の次の言葉以上に上手く表現できないだろう:
「したがって、これからの任務は、明らかに、指定カーストと指定部族の基本的必要と要求に的を絞り、彼(彼女)らが社会の他の層と同等になって主流の一部になるよう、尊厳と経済的能力を与えることである。それは、50年前に憲法起草者たちが具体的に描いた憲章そのものだ。そのような戦略は、疎外感、欲求不満を抑え、軍事的および市民的衝突が起こらないようにするだけではなく、指定カースト/指定部族を国家建設の積極的パートナーにもする。」
B.スリランカ
28.スリランカでは、シンハラ人のカースト制度とタミール人のカースト制度の2つがある。両者とも起源はインドにあるが、シンハラ人のカースト制度はヒンズーのヴァルナには結びついていない。それは、人々を“世系と血統にしたがって”13、あるいは世襲的な役割や職務にしたがって分けた封建社会の一つの側面であった。カースト制度は非宗教的な序列であった。階層は、封建的なサービスや職務、あるいは疑問視されている)階級的順序で行なわれる寺院のサービスの数だけあるカーストおよびサブカーストグループを考慮にいれた。インドのような意味での非不可触民はいなかった。社会的隔たりは実践されていたが、不浄の思想はほとんど存在しなかった。アメリカ人の学者が推断したように、「ヒンズー概念の不在は、シンハラ人のカースト制度を、インドの基準で判定すれば、緩やかで人道的なものにした。」14
29.例外は、非常に初期の時代からのRodiyasあるいはRodi(“不浄”の意味)のカーストである。彼(彼女)らの出身を取り巻く伝説は数多くあるが、そのどれもが肯定しているのは、彼(彼女)らは極悪な罪で追放され、生涯物乞いをするよう、より正確には施しを求めるよう宣告されたということだ。彼(彼女)らは土地や労働を拒否され、多くの不利な条件や下劣な扱いを受けた。彼(彼女)らは蔑まれた人々であった;19世紀半ばになっても、彼(彼女)らは“徹底的な不可触制”を被った。彼(彼女)らは、常に、中部の高地を中心に、生活を楽しく便利にするもののない小屋が立ち並ぶ独自の居住地に住む500世帯程度の小さな社会集団であった。
30.英国支配の150年間、カーストの区別は公式に認められていなかった頃、専門職やビジネスあるいは政治の世界への参入を通して、低位カーストグループから社会的地位のあるポジションへの移動が頻繁に行なわれた。伝統的なカースト職業からの離脱は、教育を通して簡単に実現され、カーストはステータスの概念となった。15
31.Rodiの場合、変化はもっとゆっくりと進んだ。後進社会集団発展委員会の努力により、Rodiの子どもたちは村の学校に通うことができた。政府の土地が耕作のために彼(彼女)らに与えられた。政府の同情はRodiに示されたが、村人の偏見は簡単に克服されなかった;しかし、Rodiに対する残虐行為を示すような証拠は何もない。農業と臨時の仕事は彼(彼女)らに機会をもたらしたが、多くのRodiにとって社会システムから外れた昔の生活が今も続いているため、経済的観点から見れば、彼(彼女)らは解放されていない。16
32.大半はヒンズー教徒であるタミール人のカースト制度も職業を基にしている。タミール人は高位および低位のカーストグループをもっていて、それはより強い不浄の概念と社会的隔たりを見せている。カーストの階層の底辺には、他の誰よりも社会的不利を被っている不可触民からなる3つのカーストがある。PallasとNalavas(昔の奴隷の子孫)は、上位カーストの土地で賃労働をしたり、彼らから果樹園(garden)の土地を借りることができるが、Paraiyarsは主にいわゆるきたない仕事に従事している。
33.数の上で強力なVellala、すなわち農夫カーストは、その他すべてのカーストを凌駕する社会的に支配的立場を緩める傾向にないが、19世紀にアメリカのミッションスクールが設立された後は、教育はカーストの区別なくすべての人々に開かれたので、上方移動を防ぐことはできなかった。17世系はタミール社会において今も重要であるが、偏見はもっと開けっぴろげに見せられる。それは寺院への立ち入りに関する激しい言い争いで公然と表わされる。ごく少数の寺院だけがVellala以外の礼拝者に開放されている。
34.社会的に不利な条件は、属性、出生あるいはその人が行っている仕事に基づいて人々に課せられてきたことを認め、社会的無資格性防止法が1957年に可決された。その法律は、ある人が、商店、食堂やホテル、公共の井戸、理髪店、洗濯場、墓地、礼拝所への出入りに関して、あるいは教育や雇用の目的で、別の人をその人のカーストを理由に差別することを犯罪と定めた。1971年、この法律は修正され、その優先性を強化し、さらに重い処罰を科すようにした。最初の頃、北部地方で何件かの訴追があったが、警察は侵害に対して行動を取ろうとしない傾向にあった。ある有名な寺院の立ち入りに関する裁判では、この法律は、低位カーストの立ち入りでヒンズー寺院を汚すことを禁じた習慣や古くからのしきたりに介入しているとして、異議申し立てをうけた。この論拠は最高裁判所と諮問機関(PrivyCouncil)で却下された。18
35.1978年憲法はカーストを理由にした差別を禁止しており(第12条(2))、その人のカーストを理由に、商店、食堂などの出入り、またその人の宗教の礼拝所への立ち入りに関して、何らかの不利な条件を与えることを禁じている。インドのようにアファーマティブアクションの条項はない。世系と職業に基づく差別は消滅していないかもしれないが、それが問題であるとする兆候はない。
36.最近の職業に基づく差別の申立ては、丘陵地帯の紅茶農園で主に雇用されているインド出身のタミール人たちが行なった。賃金、住居、衛生面、保健および教育施設に関して、彼(彼女)らは抑圧されたグループであった。政府の政策と強力な組合の活動で、改善はゆるやかに行なわれてきた。社会の他の部分との統合は偏見により非常に難しいが、これ(偏見)は崩れつつある。教育と差別禁止諸法により、上方への移動の兆しが見られる。カーストの差別は彼ら自身の間に存在しており、労働者達(大半はダリット)は高位カーストの管理者達によって組合や仕事場から締め出されているという不服が申し立てられてきた。独立後に制定された市民権に関する法律は、約100万人に及ぶインド系タミール人を無国籍者にし、彼(彼女)らの選挙権は与えられなかった。インド政府とスリランカ政府の合意に基づいたその後の法律は、彼(彼女)らと、生まれにより市民であるその他の人々との間にいかなる差別をつけることなく、彼(彼女)らが登録によって市民権を取得できるようにした。
C.ネパール
37.ネパールは圧倒的多くがヒンズー教徒で、インドと似たカースト制度がある。人口2千2百万人の約21パーセントはサービスカースト(不可触民/ダリット)から成り、低い地位の伝統的な職業に従事している。彼(彼女)らは職人や歌手から、ゴミ収集や動物の死体処理などの「きたない仕事」を行なうカーストまで及ぶ。彼(彼女)らを結合させているのは、彼(彼女)らは有害な差別を受けているということだ。彼(彼女)らは、一方で、隔離、ホステルやレストランや牛乳協同組合などの公共施設からの排除、あるいは、水飲み場、学校、寺院への自由な出入りを否定され、他方で、その他の人々には状況改善のために与えられている権利、便宜、機会を剥奪されている。
38.不可触制は違法であると1963年に宣言されたが、1990年の多党制民主主義が始まるまで、それを実際に行なっても処罰の対象にはならなかった。1990年の憲法は、国民の基本的権利を保障し、不可触民に対するあらゆる差別を法律で処罰できるようにした。ダリットが寺院や宗教的な場所に立ち入ることを禁止した国の法典(NationalCode)は、1993年、最高裁判所により無効であると宣言された。政府はダリットの進歩を目指した政策を実施することに専念している。そのため、“虐げられ抑圧された社会集団のための独立評議会”が、政策を調整してダリットに利益となるようにプログラムを監督する目的で、1998年に結成された。第9次五ヵ年計画は、教育、保健、衛生、トレーニングと能力強化、そして雇用を含み、ダリットの社会経済的発展のために、いくつかの具体的政策とプログラムを採択した。
39.これら変化の風は高く評価されるが、ダリットたちは、不可触制は撤廃されていない、資源の不平等な配分がある、彼(彼女)らの多くは農地を持たない、そして経済的、社会的に抑圧されたままであると不平を訴えている。政府は、“国民の圧倒的大多数にとって、カースト制度は、引き続き、個人のアイデンティティと社会的関係の極端に目立った特徴であり、ある程度、社会的機会のアクセスを決定している”と認めている。192000年2月、テヘランで開かれた人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議アジア地域準備会合で、政府はあらためてカースト差別の問題を認めた一方で、問題は世界会議で取り上げられるべきだと言明した。
D.日本
40.400年前に始まり1867年まで続いた日本の封建社会は、“卑しいとされた人々”を底辺に置いた身分制度を残した。これらの人々は「穢多」(ケガレ多い)と「非人」(人にあらず)から構成された。「穢多」は牛馬の死体処理、皮革製造、見張り番、掃除夫などの職務を割り当てられ、非人「ひにん」は見張り番、刑執行官、芸人などで生計を立てた。20現在では部落(の人びと)として知られている彼(彼女)らは、厳しい偏見と差別を受け、一般の人々との結婚や身体的接触は上位の身分の人びとを“汚す”として禁じられていた。彼らは小部落で生活するよう閉じこめられたアウトカーストであった。これら小部落は、現在、同和地区として公的に分類されている。同和地区の人々は、元々は「穢多」や「非人」の人々と、そこへ移り住んだ人々から構成される。公式数字では、同和地区が4,442あり、部落民の総人口は120万人であるが、非公式の数字では、それぞれ6,000および300万人となっている。差別は伝統的な職業に従事する人々だけを対象にしていない。
41.1871年の解放令に始まり、部落問題に対処する法律が数多く施行されてきた。1946年の憲法の第14条はこう定めている:“すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。”しかし、1965年の政府報告書は、部落民は“経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なお著しく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を現実には保障されていない、”と認めている。部落問題を解決する国家責任が認められ、1969年、1982年、1987年に特別法が通過した。1996年の人権擁護施策推進法は、部落差別の範囲を分析し、人権教育と被害者救済措置の答申を作るための委員会を設置した。212000年の人権教育および人権啓発の推進に関する法律は、部落解放基本法の制定に向けた全国キャンペーンの結果である。
42.部落の人々の生活水準は向上したと認められているが、結婚や雇用における差別は続いている。特に有害なのは、発言や文章における差別的用語の使用である。また、懸念される問題として、民間の調査に基づき作成した部落世帯のリストを、居住者の名前をつけて印刷し、部落民の雇用を妨げるよう大企業に販売したことがあった。政府はそうした活動に対する法律を施行してきたが、そのような行為は続ている。22
【註】日本の報告の問題点については、グネセケレ報告の末尾の資料参照のこと。
E.パキスタン
43.スワットは北部パキスタンの一地域であり、人々はイスラム・スンニ派ということを除けば、ヒンズーのカースト制度に匹敵する不平等な社会集団の階級制度(qoum)をもっていた。儀式的不浄の概念はないかわりに特恵と不名誉の観念がある。その地域の人口は約50万人で、人々は自給農業に依存している。それら集団は農業共同体で見られるような性質をもち、底辺には蔑まれた人々―清掃人、洗濯夫、床屋そして動物の内臓を処理する人々―がいる。職業による不浄はあるが、生まれによるカーストの地位は職業の変更を妨害しない。儀式的活動には平等があるが、日々の状況には差別が存在する。23
44.Sindh県には、農業労働者として束縛されて生活している人々が約180万人いて、その大多数は元々インドから来たダリットである。多数のダリット家族がレンガ焼きの産業で働いていて、同じように完全な隷属状態にある。隷属された家族は実質的に囚人であり、負債を返済するまではそこから離れることを許されない。1992年、債務労働(廃止)法が可決されたが、法律の遵守者は、たとえ国家警察が行動を起こしても州の検事は訴追を怠っているということを指摘している。
II.女性および子どもに対する侵害
45.職業や世系を基にした差別に加え、ダリットの女性や少女たちはジェンダー差別も被っている。アジアのダリットコミュニティの女性たちは、満足に教育を受けていないし、へとへとになるほどの重労働や人身売買や売春を含む多数の形態の暴力を受けている。ダリット女性たちは、一様に、高位カーストの地主による身体的虐待と性的搾取にさらされている。女性たちはカースト暴力の間、レイプされ、手足を切断され、殺されている。ダリット女性たちは、調査のあらゆる段階に対して根強い偏見があるため、性暴力の事件を必ず通報するわけではない。
46.インドやネパールの都市の売春宿にいる大半の女性と少女たちは、低位カースト、部族あるいはマイノリティ社会の出身者である。デバダシ(devadasi)の習慣は、思春期直前の低位カーストの少女を神や寺院に結婚させたり捧げる行為を伴う。一旦捧げられたら、少女たちは結婚できない;彼女たちの役割は、売春婦として村の高位カーストの男たちに仕えることである。インドの一部の州は献身の習慣を禁止する法律を通過させたが、伝えられるところによればうまく実施されていない。
47.インドは1993年に、すべてのパンチャヤット、すなわち村議会の議席と村の長のポジションの3分の1を女性に留保し、さらにその1パーセントをカースト制度の最も低い階層の女性たちに留保するようにした憲法改正を採択して、女性に対する差別を改善しようと努めてきた。ネパールでは、憲法は、国政選挙で政党が出す立候補者の5パーセントは女性とし、地方自治体においては議席の5パーセントを女性に確保するよう求めている。しかし、ダリット女性たちは、国政あるいは地方レベルで代表されていないように思える。
III.最終意見
48.本報告書で述べられている人々は2億5千万人に達すると推定される。これはいかに説明されようとも驚くべき数字である。彼(彼女)らは、苦しみとほんのわずかな権利の生活、絶え間ない差別の生活、尊厳のない生活をうけ継いできた。どのような悪事を彼(彼女)らは犯したというのか?世界は彼(彼女)らの周辺では変化してきたが、彼(彼女)らのために変化してこなかった。彼(彼女)らは数百年、時には数千年に及ぶ伝統、今日では正当化されない伝統に支配されている。中には、彼(彼女)らは国際文書で理解されている人種にはあたらないという意見がある。しかし、彼(彼女)らは、事実(現実には)、共通する属性をもって集まった打ちひしがれた人々の人種(race)である。彼(彼女)らが話す言語は様々だが、日常生活の苦悩を終らせる社会正義と良き統治を求める声は一つである。彼(彼女)らは人権侵害を被りやすい人々(peoples)である。単に救済的な法律を通過させるだけではなく、これら侵害が処罰されず放置されないようなポジティブな行動をとるよう努力するのは当該国家の責任である。(差別を処罰する)法律の厳格な実施は、寛容と思いやりと正義の方向に態度変化をもたらすよう社会で進められているその他の教育的取り組みを助けることができる。
49.本報告書の焦点はアジア諸国に絞られてきた。小委員会で決議が議論された時、問題はアジアだけに限定されるものではないし、アフリカ、そして恐らく南アメリカの一部分にも存在すると言及された。筆者は、時間の制約と適切な資料へのアクセス不足より、これら地域の状況を本報告書に含めることはできなかった。
50.事実上は序論となる本報告書が、職業と世系から生じる人権侵害の深刻な問題を実証するものになるよう願う。国連総会、人権委員会、人種差別撤廃委員会そして小委員会自身でも多数訴えられてきた差別の苦情は、関係諸国の政府の支援を得て、さらに詳しい調査を行なうに値する。
注:
- ダリットの人権侵害、Vol.I,314。陪審は以下の著名人より構成されていた:K.Punniah判事、元アンドラプラデシュ控訴院判事;H.Suresh判事、元ボンベイ控訴院判事;MohiniGiri博士、元全国女性委員会委員長;AmirDas判事、元パトナ控訴院判事;VasanthiDevi博士、Tirunelveli、元MS大学副総長;Ms.KumudPawde、ダリット作家;Ms.SonaKhan、最高法院弁護士;Ms.RaniJethmalani、最高法院弁護士;R.K.Nagak博士、NISWASS創設者およびディレクター。
- アンベドカル博士の演説、ハリジャンに掲載されたガンジーの記事、そしてアンベドカル博士の返答は、“カーストの絶滅”(第3版)1987年に公表されている。
- ジェームス・マッセィ博士の論文「考察と意見―職業および世系に基づく差別:様々な国における被害社会集団の特定」、人種主義とカースト差別に反対するグローバル会議に提出、2001年3月ニューデリーにて開催。
- マーク・ギャランター、“競い合う平等―インドにおける法律と後進諸階級”1984年。
- 上記3を参照。
- MathewとChacko、“不可触制廃止の法律”、インド社会学研究所、ニューデリー、1996年。
- ヒューマンライツ・ウォッチ、うちひしがれた人々:インドの“不可触民”に対するカースト暴力、1999年3月。
- 破られた約束と裏切られたダリット:ダリットの人権状況に関するブラックペーパー、ダリットの人権のための全国運動。
- SukhadeoThorat教授、“ヒンズーの社会システムと不可触民の人権:侵害の理論と証言”人種主義とカースト差別に反対するグローバル会議に提出、2001年3月ニューデリーにて開催。
- 本報告で引用した出版物に加え、ヒューマンライツ・ウォッチ、ダリット・グローバル・アクション、ダリットの人権のための全国運動などの組織も個人からの証言を受けてきた。
- 1993Cr.L.J.1029。
- “フロントライン”、1999年2月26日および3月12日号参照。
- ロバード・ノックス、“セイロンの歴史的関係”、1681年。
- ライアン、“近代セイロンにおけるカースト”、1953年、p.17。
- A.P.Kannangara、“近代スリランカにおけるカースト身分のレトリック”、PeterRobb、“社会と思想”、1995年。
- M.D.Raghavan、“ハンサムな(堂々とした?)乞食―セイロンのRodiyas”1957年。
- マイケル・バンクス、“Jaffnaのカースト”南インド、セイロンおよび北西パキスタンの角度より。E.R.Leach、1960年。
- Suntharalingamvs.Herath、72NLR54、74NLR457。
- あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、第9条に対するネパール報告(CERD/C/337/Add.Para22.1999年5月4日)。
- “日本の部落差別の歴史”、反差別国際運動(IMADR)2001年。
- anaccountofthelawsinEmilyA.Su-lanReber,“日本の部落問題:過去および近代の側面と未来の方向”、ハーバード人権ジャーナル、vol12、1998、p298参照。
- 全般的には、友永健三、日本政府の第4回定期報告へのカウンターレポートにおける“部落差別の現状に基づく批評”、部落解放・人権研究所1998年参照。
- この証言はフレデリック・バースの“北パキスタンにおける社会階層のシステム”、Leach、を基にしている。