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意見・主張
 
研究所通信275号より
掲載日:2001.7.10
学校開放と危機管理に関する一考察

櫛田幸子(貝塚北校区ふれあいルーム運営委員会委員長)



今般、大阪池田市において学童8人が殺害されるという事件があったことは誠に痛ましいことであり心より犠牲者のご冥福をお祈り致します。

平素より学校を地域コミュニティー活動の場として余裕教室を開放していただき“ふれあいルーム”を運営している私たちにとっては他山の石として片付けられない問題であり、ここでその対応や考え方を披露いたします。

先ず、頭にうかぶのは(一部では既に対応されているようですが)物理的な校門の閉鎖です。時間的制限付きや警備員の配置を含め、その内容にはいささか違いはあるものの学校を外部から物理的にシャットアウトし危機を管理しようとするものです。

しかし、それだけで完全に幼い子ども達を危機から回避出来得るでしょうか?今回の事件がたまたま学校内で起こったものであるが故の臨床的な対応でしかなく、根本的な解決策ではありません。この種の事件が学校の外の公園であったり、道路上であったり、公共の場所で発生することも十分考えられるからです。

貝塚市立北小学校に於いての対応は正門一ヶ所を常時開放はしておきます(職員室が正門のすぐ横にあり訪問者が目に止まる)がそれ以外の校門は通常閉じておく、というものでした。

私たちも学校側やPTA保護者の諸般の事情を考慮して、従来“ふれあいルーム”への来校者が自由に出入りしていた通称“利斉坂”と言われている所の出入り口の閉鎖に応じました。そして“ふれあいルーム”関係者がその活動中に携行しているネームプレートを今後は着用してから来校するべく運用を変更し、全活動グループに徹底しました。

と同時に、日常的に活動を行い地域の大人が常時学校に出入りしていることの方が、子ども達の安全のためにより以上に重要であることへの理解を求めております。

“ふれあいルーム”の活動理念の一つは“子ども達にとって身近で日常的な学校を利用し、地域の大人が手を携え心豊かな青少年を育むための環境醸成の場とする”というものです。(詳しくは『部落解放研究』第140号、北校区ふれあいルームからの報告参照)

解説一年目よりは二年目、更に今年三年目に入りその有用性について学校、保護者、地域住民の理解が徐々に深まってきておりますし、実感しております。

私たちの究極の目的はこの活動をつうじて子ども達の健全な発育を助け、以って明るい社会、血のかよった心のふれあう社会、安全で住み良い地域社会をつくることであります。

雨降って地固まるの例えどおり、この事件をきっかけにますます我々の活動の重要性を再認識すると共にこの“ふれあいルーム”の活動をより地域に浸透させていきたく励んでおります。