20世紀は、戦争の世紀でありました。このことを反省する中から、新たに迎えた21世紀を平和の世紀としたいと多くの人々は願っています。しかしながら、一昨年の「9・11同時多発テロ」の勃発とその後のアフガニスタンに対するアメリカを中心とする爆撃によって、この願いは無惨にも打ち破られてしまいました。
そして、今また、イラクの大量殺戮兵器による脅威を取り除くとの「口実」の下に、アメリカをはじめとする勢力は、イラクに対する武力による攻撃を準備しています。国連は、もしも、イラクに対する軍事的な攻撃が行われた場合、少なくとも50万にも及ぶ死傷者と、多くの難民が生じるとの見通しを公表しています。言うまでもなく、これら犠牲者の大半は、高齢者、女性、子どもを中心とする民間人です。
このような事態に対して、世界各地で、アメリカ等によるイラクに対する武力による攻撃に反対し、平和的な方法による問題解決を求めた集会やデモが活発に繰り広げられています。2月15日には世界60カ国630地域で1000万人以上の市民が参加して戦争反対を訴えました。それは、イラクに対する武力攻撃を目指しているお膝元のアメリカやイギリスなどにおいて、もっとも強力に展開されています。
さらに、国連の安全保障理事会においても、フランス、ロシア、中国、ドイツなどが武力攻撃によるこの問題の解決に反対しています。
こうして、「イラク問題」を武力による攻撃でなく、平和的な話し合いで解決する可能性が生まれてきています。この可能性を現実のものとするための大きなカギの一端を日本が担っています。
それにもかかわらず、日本政府は、基本的にアメリカに同調する立場を取り、査察継続に反対する姿勢を明らかにしています。この日本政府の態度は、明らかに日本国憲法の精神に違反するものです。日本国憲法の前文には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と謳われていますし、第9条の1項では、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と規定されています。
戦争は最大の人権侵害であり環境破壊です。私たちは、アメリカなどによるイラクに対する武力による攻撃に断固反対するとともに、日本政府が日本国憲法の精神を踏まえ、「イラク問題」の平和的な解決の先頭に立って活発な行動を展開することを強く求めるものです。