2003年10月19日(日)、大阪人権センターにおいて研究所2003年度第3回理事会が開催された。本理事会では、(1)2003年度後期事業計画(案)、(2)2004年度事業計画(第1次案)、(3)就業規則の見直しについて(第1次案)、等について議論された。以下、概要を報告していく。
2003年度後期事業計画の変更・新規提案
- 昨年の通常国会に上程され、3度の継続審議となっていた「人権擁護法案」が衆議院の解散とともに廃案となったが、部落差別をはじめとした差別を撤廃し人権侵害を救済していくために、1993年の国連総会で承認された国内人権機関の設置に関する原則、いわゆるパリ原則を踏まえた人権委員会の設置を盛り込んだ法律の制定はさけて通ることのできない課題であることに鑑み、研究所として、これまでの取り組みを総括し、パリ原則を踏まえた「法律」の設置にむけた研究・宣伝に取り組んでいく。
- 「人権教育のための国連10年」について、第1次(1995〜2004年)の総括を踏まえた第2次の「10年」にむけた提言を行っていくとともに、2000年9月に策定、同年12月に改訂した研究所としての「行動計画」を全面的に改訂するとともに、第2次「行動計画」を策定していく。このため(第一次案)を会員等に送付し意見を求めていく。(研究所ホームページにも掲載中)
- 「職業と世系(門地)に基づく差別」と関連して、ディアスポラ(移住した人々)と身分差別等との比較研究の検討とともに、国際人権自由権規約に関する第5回目の報告書および人種差別撤廃条約に関する日本政府の第3・4回報告書未提出問題の取り組みを行っていく。
- ビデオ教材として「寝た子を起こすな論」批判を題材に作成する。
- 新たに三重県名張市の部落生活実態調査を受託する。
- 研究所諸規定について、見直しを検討していく。
- 2004年度予算について、検討していく。
2004年度事業計画案の骨子
今後究明すべきおもなテーマとして、
- 「人権教育・啓発推進法」の活用と「人権教育のための国連10年」
- 「同和教育」と「人権教育」
- パリ原則を踏まえた法律制定
- 人種差別撤廃条約の国内法整備
- 「同和行政」と「人権行政」
- 「人権尊重のまちづくり」促進
- 部落差別撤廃・人権条例の拡大と活用
- 「イエ意識」や「ケガレ意識」、戸籍制度等部落差別撤廃を困難にしている風習や制度の解明
- 人権立国日本の提言
- 国連等での「descent(世系/門地)」に関する取り組みとの連携
- 企業と人権
- メディア社会と人権
- 部落問題解決のための実態調査
等の課題がある。
なお、これらの内容をもとに12月の第4回理事会では2004年度事業案ならびに今後の理事体制のあり方を中心に検討し、総会に提案していく予定である。
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