特定のテーマに関して深く学びたい、平日の日中は仕事などで参加したいができない、という人びとのニーズに応えた部落解放・人権大学講座「ゼミナールコース」が2003年度より新たに開講され、昨年12月好評のうちに修了した。
ゼミは土曜日の開講で、全コマを通じて1人の講師に担当していただいた。
2003年度のテーマは「部落史」で、講師は中尾健次(大阪教育大学付属教育実践総合センター長)さん、部落史研究の成果を、中世から現代まで全12回にわたり通史的に学習、とくに近年の研究成果ともいえる「起源論」「部落の生産と労働」等については、その論争点も含めて詳しく学習した。
このゼミでの講義の方法は、ビデオや史資料をできるだけ多用し、質疑討論を交えながら進めていった。また、当初予定には入っていなかったものの、講義内容をより深めるために、フィールドワークとして浪速地区の「人権太鼓ロード」「太鼓づくりの実演・体験」なども行い、その模様はMBSの番組「ちちんぷいぷい」でも紹介された。
ゼミの参加者は約20名で、大阪をはじめ三重や兵庫、和歌山などからの参加もあり、職業も企業、行政、教育関係など多様な構成となった。
また、講義後には、講師の中尾先生を囲んで懇親会を催し、さらに議論を深めたり、受講生同士の交流も深めていった。
さらに、講座修了後、受講生から年に一度でもいいから、その後の部落史研究の動向や疑問などにも応えていけるように、フィールドワークや学習会などの同窓会活動を行うことなどが決められていった。
2003年度のプログラムは下記の通り。
- 部落問題とは
- 中世の村落とよそ者排除の習慣
- ケガレ意識と職人技術
- 城下町の建設と治安対策
- 被差別部落の労働と生活
- 近世の身分制度をとらえ直す
- 「解放令」とその後の生活変化
- 浪速地区のフィールドワーク
- 部落改善運動・全国水平社とその活動
- 戦後の部落の生活と解放運動の再生
- 「同和事業」のはじまり
- 「まとめ」と「ふりかえり」
なお、2004年度については「人権ワークショップ」をテーマに「ゼミナールコース」が開催される予定で、後日の開催要項で詳細が紹介される。