第20回参議院選挙が、去る7月11日実施された。結果は、民主党が躍進し自民党が後退した。しかし、非改選議員をあわせると自民・公明を併せた与党では安定多数を確保したので、政権交代や首相の退陣には至らなかった。
今回の選挙の最大の争点は、「年金問題」、「イラクの多国籍軍への自衛隊派遣」、これらの案件を決めるにあたっての「小泉首相の政治手法」をめぐってであった。これに対して国民は、重大な疑義を呈したといえよう。小泉首相の政権担当は、当分続くこととなるが、今回示された国民の意志は尊重されなければならない。
ところで、今回の選挙では、参議院(全国)比例区選挙に部落解放同盟から松岡徹書記長が出馬し、11万4136票を獲得、民主党比例区候補者中17位で当選した。参議院(全国)比例区における部落解放同盟の組織内からの当選議員としては、松本治一郎、松本英一議員(いずれも故人)以来3人目の議員の誕生であり、10年ぶりに「解放の議席」が回復されたこととなる。部落解放と人権確立にとって大きな成果としてともに喜びたい。
松岡徹議員は、総合的な人権政策の実現をめざす広範な人びとのネットワーク組織「虹の連合」の特別代表でもあるが、同連合は、「積極的に政治に参画し、総合的な人権政策の確立をめざす」として、具体的には、
- 「平和と人権の憲法」の定立
- 「人権侵害救済法」の制定
- 「障害者差別禁止法」の制定
- 公正な司法制度改革の実現
- 定住外国人の参政権の実現
- 「子どもの人権基本法」の制定
- 「まちづくり・むらおこし支援法」の制定
- 「地域就労・企業支援法」の制定
- ホームレス支援総合政策の実現
- パート均等待遇等の法制定の実現
- 「企業の社会的責任」の取り組みの促進・支援
と11の政策を掲げており、松岡議員に、是非ともこれらの政策実現の先頭に立ってもらいたいと思う。
人権擁護法案が昨年10月、衆議院の解散に伴い自然廃案となったが、国連総会で採択された国内人権機関の設置に関する原則(パリ原則)を踏まえ、部落差別をはじめとする差別の撤廃と人権侵害の救済に役立つ人権侵害救済法の早期制定が求められている。これに向けた松岡議員の奮闘に、特に期待したい。
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