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2005.03.08
意見・主張
  
『大阪の部落史』第1巻発刊記念講演会開かれる
 2005年2月5日、大阪人権センターで『大阪の部落史』第1巻発刊記念講演会が約70名の参加の中、開かれた。

 中尾健次(大阪教育大学)さんの司会で開会され、上田正昭・大阪の部落史委員会委員長(京都大学名誉教授)が主催者を代表して挨拶をされた。その中で、編纂事業を始めて10年が過ぎようとしているが大阪府市や関係者の援助をいただき近代3巻、現代2巻を発刊でき、今回、史料編第1巻(古墳時代-近世前期)が発刊されたこと、この巻の大きな特徴は史料解説の丁寧さ、考古資料(牛馬の骨)と被差別民の関係を本格的に取上げたこと、大阪での古代中世の被差別民関係史料を丹念に取上げたこと、近世前期(元禄17年まで)を基本的に新規史料で編集したこと、延宝4年の河内国丹北郡更池村検地現況絵図を初めて刊行したことなどがあること、2005年より始まる「人権教育の世界プログラム(初中教育段階)」に寄与したいこと、が述べられた。

 続いて積山洋((財)大阪市文化財協会)さんより「古代における牛馬観の変遷」をテーマに報告がされた。第1巻では100頁ほど考古資料が掲載されているが、牛馬観の変遷を中心に、飛鳥時代ぐらいから死牛馬の処理による大量の骨の出土があり、古墳時代のようにわざわざ墓に葬るという牛馬観は無くなっていること、9世紀ぐらいまでは平安京内で獣骨が出たが10世紀になると内では出なくなる一方、牛馬の骨の出土分布が河内中心から淀川筋に拡がっているという変化が生まれていることやその意味、等が報告された。

 寺木伸明(桃山学院大学)さんからは「近世前期被差別民の諸相」をテーマに報告がされた。史料編の構成にそって、近世大阪の被差別民の全体状況、近世初頭の検地と被差別民、近世前期の摂津・渡辺村の移転、皮多村の農業経営・一村独立の皮多村、皮多村の太鼓業の発展、生類憐れみの令発布期の牛馬等取扱いの状況、浄土真宗と皮多村、元禄期の天王寺「非人」集団、延宝4年添付絵図の意義、等多岐にわたって特徴的な新規史料の説明が報告された。

(文責・事務局)

※なお、報告内容の詳細は『大阪の部落史通信』36号(2005年1月)、ないし研究所ホームページの「大阪の部落史」をご参照下さい。