去る6月14日、第20回原田伴彦記念基金運営委員会を京都にて開催した。運営委員会を代表して上田正昭先生より挨拶を頂いた後、遺族の原田信太郎さんより20回目を数える運営委員会の開催に謝辞が述べられた。その後、部落解放同盟中央本部の組坂繁之執行委員長をはじめ参加者の自己紹介があり、議案に沿って以下の4点について事務局より報告と提案がなされた。
(1)第5回原田伴彦・部落史奨励金については6件の応募があり、選考の結果、以下の3名の方に奨励金を支給した。(以下敬称略)1.田中和男「大原社会問題研究所の成立と米田庄太郎」、2.田中真次「近世犯罪捜査における広域ネットワーク(近世中期を主にして)」、3.本郷浩二「メディアにおける被差別部落認識の形成と近代部落問題の成立」。なお近年、部落史研究者は減少傾向にあるが、研究内容については質的に向上しているので論文の出版助成等にも基金の活用、もしくは出版先の紹介の必要性が話し合われた。 (2)マイノリティー研究会への助成については「人権侵害救済法(仮称)」の動向を中心に研究会を重ね、又滞っていた研究会ニュースも発行した。2005年度も研究テーマについて会員の意見交換を通して研究会を年3回程度、積み上げていく事が報告された。
(3)国際人権人材養成事業については昨年、キール大学・大学院生(英国)の中村隼人さんを派遣し、その報告書が紹介された。又、2005年度については3名の応募者があったが、北海道大学の大学院法学研究科を今年3月卒業したジョージナ・スティーブンスさん(オーストラリア)を派遣することが決定された。
(4)2004年度決算と2005年度予算案について報告され承認された。又、基金の運用について一部を国債で運用し、一定程度の利子を確保する事ができた旨、報告があり承認された。なお、記念基金事業も今年度で20年に及び事業を積み重ねてきたが、その20年の歩みをまとめ、来年『ヒューマンライツ』誌上で報告することとなった。
|