〈国内〉次の3事業に対して、今年度枠として計74万円を助成することが決定した。
<1>八尾識字日本語連絡会(大阪府八尾市)による高砂日本語教室に対し、教材・文具費10万円、指導者用書籍5万円、指導者交通費25万として、計40万円。
〈趣 旨〉
国際識字年の意義を広め、市民の理解を深めることを目的に1990年以来、諸イベントやビデオの作成、市内在住の中国帰国者・渡日者の実態調査、読み書き交流会等の活動を行ってきた八尾識字日本語連絡会が、「国連識字の10年」にあたり、八尾市内に住む日本語学習希望者が居住地域で日本語を学べる場所をつくることを目標に、当面、中国帰国者が多く住む府営高砂住宅内で地域の人たちの協力も得て、毎週土曜日の夜、日本語を学べる場所をつくるというのが事業の趣旨である。
<2>在日のハルモニたちが学ぶ青春学校(福岡県北九州市)による、識字の成果としての「自分史」の執筆支援「―自らの人生と歴史とをつなげる想像力の獲得にむけて―」の事業開始に対し、10万円。
〈趣 旨〉
高齢の在日韓国・朝鮮人のために、「万人のための教育」の保障と地域での国際交流を目的として1994年に開設され、ボランティアの自主運営によって毎週1回の識字学習(ペア学習)のほか、交流活動や文集作成等を行ってきた、青春学校は、これまでの識字学習で得た文字や知識をもとに、厳しい環境におかれながらも逞しく生き抜いてきた学習者自身のライフヒストリーを一定の訓練を受けたスタッフが記録化していく事業と、ペア学習のなかで学習者自身が学習者自ら自分史を綴るという事業を同時並行で進めることが計画されている。
<3>ききとり識字教材化委員会(大阪市)による「被差別部落の女と唄」の再構成と新たな識字教材の創造の事業に対し、語りと唄の聞き取りMDからの原稿化・再構成の作業に対する原稿料として、24万円(2年目も原稿料として24万円の助成が決定した)。
〈趣 旨〉
大阪府内の被差別部落をまわってききとりをし『被差別部落の女と唄』をまとめた多田恵美子さんと部落解放・人権研究所識字部会が中心となるききとり識字教材化委員会は、多田さんが1975年頃からききとってきたおばあちゃんたちの語りや唄を247本のMDからおこし、語りの生きた言葉を活かし、識字学習に使いやすい短い文章およそ30本ほどにまとめ直して出版する教材化事業を3年間で進める計画である。本事業は、当時の部落の生活文化が失われ、当時を知る人も少なくなっていくなかで、これらを広く知らしめるとともに、学習者の多くを占める部落の高齢女性をはじめ被差別の学習者にとってのエンパワメントにつながることが期待される。
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