第1号議案として、2005年度後期の事業計画(案)が友永健三理事・所長から提案された。なかでも、基本課題として、「『職業と世系に基づく差別』の撤廃に向けた取り組み」や「『人権教育のための世界プログラム』に連動した取り組み、」「『人権侵害救済法』(仮称)の制定」や「今日の部落差別の実態を明らかにする」こと、さらには「日本国憲法、教育基本法をめぐる論議」に関する取り組みなどを進めることが提案された。また、新規理事体制のもとでの各理事の任務分担に関する提案も併せて行われた。
これらの提案に対し、各理事から、今日の社会や政治・経済状況を踏まえたタイムリーな出版企画のために体制を強化すべきこと、大学教育での部落問題論受講生が減少している現状に対し、これを切り返していくような教材研究・カリキュラム戦略が求められていること、個人情報保護が部落の実態調査を拒否する口実として利用しようとする動きがあることに対して、運動的な課題と、両者の関係の理論的な課題とを分けて整理し、また実態調査や意識調査のあり方について法失効後の調査論を打ち立てていくべきこと、右傾化の動きを受けて教育現場が弱体化している現状に対し、バックアップをしていく必要があることなどの意見が出された。これらの意見を反映させ、12月理事会で改めて事業計画を提案したいとし、寺木理事長が承認の提案を行い、出席理事全員の承認を受けた。
第2号議案「2005年度正会員、特別会員の承認について(案)」が、松下総務部長より提案されたが、当該議案に対しては、高齢者の虐待問題が大きな社会問題になっている状況のもとで、社会福祉法人に対する入会勧奨の取り組みを進める必要があるとの意見が出された。
第3号議案では、2006年度事業計画(第1次案)が友永理事・所長より示された。ここでは、各部室からの課題のほか、次期の研究所を担う職員体制の構築や、行政機関との連携のあり方など、研究所総体としての課題についても提案された。この点について、生殖医療の関係で、着床前診断が行われているが、このような方向性は優生思想に基づくものであり、社会ダーウィニズムの復活とも言えるため、この点に取り組むべきこと、研究部関係者の位置付けについて、研究員の設置の是非や客員研究員の位置付けなど、職員体制についての議論が行われた。さらに、地方行政改革の流れの中で、指定管理者を受託する団体に対して、その公益性の観点から「人権の視点」を如何にして担保していくかという課題が指摘された。これらの議論をへて、第3号議案は、出席理事全員の承認を受けた。
第4号議案である「2006年度基本日程(案)」が松下総務部長から提案され、こちらも出席理事全員の承認をうけた。
すべての議事が終了した後、大野町子副理事長が閉会の挨拶を述べて、2005年度第2回理事会が閉幕した。
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