あけましておめでとうございます。
旧年中は、本研究所の活動にご協力をいただき、厚く感謝申し上げます。年頭に当たりまして一言ご挨拶申し上げます。
近年、政治・軍事・経済等におけるアメリカへの一極集中化が一段と強まり、アメリカ主導のもとにグロバリゼーション化が一層加速されていることは、周知のことであります。また、それらが、現代国際社会における戦争・紛争・対立を、虐殺・人権侵害・貧困を引き起こしている主要な要因の一つであることも、よく知られていることであります。
その象徴的な事件が米英等によるイラク攻撃だったのではないでしょうか。戦争をしかける口実の一つであった大量破壊兵器がイラク国内になかったことは、ブッシュ大統領自身が認めました。それでも攻撃は正当であったと強弁しています。昨年12月12日、同大統領は、開戦以来のイラク民間人の死者は3万人前後と語りました。非民間人を含めるとさらに大きな数になるはずです。ちなみに米軍の死者も2100人にのぼっていると報道されています(『朝日新聞』2005.12.13、夕刊)。
このようにこの戦争により多くの犠牲者が出ているのです。そして、これまた周知のように日本政府は、この戦争に協力・加担しているのです。昨年9月11日に行われた衆議院議員選挙による与党の大勝により、憲法第9条を改悪して日本を再び戦争のできる「普通の国」にしようとする動きが強まってきています。このようなとき、戦争が最大の人権侵害であることを改めて認識し、日本を戦争のできない平和な国にしていくことが私たちに強く求められている、と言えるのではないでしょうか。
当面、第1に、私たちは、「人権侵害救済法」(仮称)の早期制定にむけて、各階各層の意見に謙虚に耳を傾け、かつ、協力を得ながら努力していくことが必要ではないかと思います。
第2に、国連人権小委員会での「職業と世系に基づく差別」についての特別報告者たちと、特に調査研究の面で協力し、2007年に提出予定の最終報告書がより充実した、人権確立に向けて意義のあるものになるよう努力していくことが求められています。
第3に、そのためにも、同様の差別が存在していると言われるインド、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、パキスタン等の南アジア諸国の人々、およびセネガル、ソマリア、ナイジェリア、エチオピア等のアフリカ諸国の人々と研究交流を通じて連帯を深めていかなければなりません。
第4に、2002年3月末に33年間続いた特別措置法体制が終結して、部落問題をめぐる状況は大きく転換してきましたが、法期限切れ後の部落差別の実態と解決への課題の正確な把握が求められていると思います。
その他、多くの課題があると思いますが、本研究所の会員の方々はもちろんのこと、多くの方々のご協力を仰ぎ、課題の解決にむけて微力を尽くしていく所存でございます。どうぞ本年も一層のご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。
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