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2006.04.27
意見・主張
  
国連人権高等弁務官との懇談等が実現
〜スイス・ジュネーブ訪問報告

友永健三


 去る3月11日から15日まで、反差別国際運動(IMADR)第2回執行委員会等が開催されたため、スイス・ジュネーブを訪問した。その概要を、以下に紹介する。

第2回反差別国際運動執行委員会等への参加

11,12日の両日、上記執行委員会が開催され、ニマルカ・フェルナンド理事長、武者小路公秀副理事長、組坂繁之理事等が参加し、2004/05年の活動報告、2005/06年の活動方針が討議され、本年12月11〜18日スリランカのコロンボで第5回理事会、第7回総会を開催すること等が決定された。

13,14日の両日は、国際ダリット連帯ネットワーク(IDSN)主催で「職業と世系に基づく差別」に関する特別報告者との非公式協議が開催された。この場で、日本の部落差別はもとより、インド、ネパール、パキスタン、ケニア、イエメンにおける差別の現状と差別撤廃に向けた課題が報告された。また、昨年から今年にかけて特別報告者によって各国政府等へ求められていた調査結果の報告があり、「職業と世系に基づく差別」を撤廃するための「原則と指針」に盛り込む事項についての討議がなされた。

15日には、IDSNの執行委員会が開催され、今後の活動の方向を中心に討議が行われたが、インドからの参加者を中心に84年に及ぶ部落解放同盟の闘いとの連携の必要性が強調された。

国連人権高等弁務官等との懇談

これらの会議の合間を縫って、13日には国連人権委員会の人種主義等の特別報告者ドゥドゥ・ディエンさんとの懇談の機会がもて、1月に公表された「日本公式訪問報告」への感謝を伝えると共に、発展・補強の作業と国内での公報を確認した。また、本年9月大阪で開催予定の「第15回ヒューマンライツセミナー」等への参加を要請した。

14日には、国連人権高等弁務官のルイーズ・アルブールさん(写真中央左側の女性)とも懇談が実現。狭山第3次再審、人権侵害救済法の早期制定、国連人権小委員会の下に設置された上記特別報告者の活動継続等を要請した。この内、特別報告者の件は、国連改革のなかで活動が継続されるかどうか不透明であったが、人権高等弁務官から「重要な活動なので人権理事会の下でも引き継がれる必要がある」との見解が示された。

さらに、15日には、「人権教育のための世界プログラム」担当のエレーナ・イポリッティさんと懇談。「世界プログラム」が「人権教育のための国連10年」の成果を引き継ぎ発展させるために取り組まれていること、第一段階(2005〜2007年)の重点課題が初等・中等学校教育制度における人権教育の推進なので、本年1月、各国の教育大臣宛に積極的な取り組みを求めた要請文を送付したことなどが紹介された。

わずか5日間の短いジュネーブ滞在であったが、実り多い成果を上げることができた。詳しくは、『ヒューマンライツ』5月号に掲載予定。