はじめに
前飛鳥支部支部長小西邦彦氏、安中支部相談役丸尾勇氏、部落解放運動関係者の相次ぐ逮捕に関して、部落解放同盟大阪府連合会(以下、大阪府連)は全国の同盟員をはじめ、部落解放運動に支援・協力をいただいている多くの人たち、そして広く市民のみなさんにまずもって心からの謝罪を表明する。全国水平社以来の歴史と伝統をもち、日本の人権運動のさきがけと自負してきた部落解放同盟最大の不祥事であり、痛恨の極みである。
1 総括と府連見解作成の目的
- 部落解放同盟と部落解放運動の信頼回復
- 5月8日、財団法人「飛鳥会」理事長であり部落解放同盟大阪府連合会飛鳥支部(以下、飛鳥支部という)の当時支部長であった小西邦彦氏が「業務上横領容疑」で逮捕された。事件の真相が明らかになるにつれ、長年にわたって部落差別の撤廃をめざす運動とは一切無縁で反社会的な利権行為が行われ、しかもそれが同盟支部長という肩書きを悪用した「エセ同和行為」であることが明らかになりつつある。
- こうした現職支部長の不正を支部を指導する立場にある大阪府連が見過ごしてきたのはなぜなのか。これらのことを解明し、社会に対して説明しなければ大阪府連の社会的な信頼は取り戻せない。
- 「水平社」時代の原点に立ち戻り部落解放運動の再生をめざす
- 部落解放運動は、多くの人たちの共感と信頼を得るものでなければならない。部落差別の撤廃をめざし、「人類最高の完成」つまり人権確立社会を創造するという目的を推進するためには、自らを厳しく律し、多くの人たちから信頼される運動でなければならない。
- その信頼が根底から崩されようとしている。今こそ、事件の分析、再発防止にとどまらず、「水平社」の精神に立ち帰って部落解放運動そのものの再生にとりくみ、信頼回復に向けて大阪府連の総力を結集して取り組む決意である。
- 「飛鳥会事件」の再発防止だけではなく、部落解放運動、組織の刷新に取り組む
- 事件は、部落解放同盟支部幹部の不祥事であり、同時に「同和」という看板を使ったエセ同和行為である。事件の原因を徹底して掘り下げ、背景を明らかにし、背景を取り除くことが部落解放運動の責任を果たすことになると確信する。
- この原因の掘り下げは、飛鳥会等事件の再発防止という点にとどまるものではない。行政との関係等も含め、同盟組織の運動的課題を明らかにするものであり、いわば新たな同盟組織をつくりあげる覚悟で、改革方針を打ち出さなければならない。大阪府連はじまって以来の危機的状態であることを自覚し、この改革方針を実践する。
2 事件の概要と大阪府連・飛鳥支部の問題点及び背景
- 小西氏個人としての問題点と背景
- 小西氏が不当な利益を得ていたという問題点
- 事件は生活改善を主たる運動課題とし行政闘争を中心とした第二期の部落解放運動に乗じ、運動の力を巧みに悪用した許しがたい行為である。
- 小西氏個人の私腹を肥やすために虚偽の駐車場報告書をねつ造するなどに至ったものであり、飛鳥地区住民の部落解放への願いへの裏切り行為であると同時に、部落解放運動の信頼を大きく失墜させた犯罪的行為である。
- 小西氏は暴力団元組長や小西氏の親族など、個人的な交友関係者を飛鳥人権協会職員と偽って架空雇用し、健康保険証の虚偽申請と詐取を行っていた。飛鳥会のみならず、地域レベルで同和問題の解決と人権行政を推進している公益機関をも「私物化」していた行為である。
- 市立施設の当直業務、市立中学校体育館の清掃作業の人件費の不正受給。さらには大阪市職員に飛鳥会の運営する売店を手伝わせ、親族の介護や通院の付き添いもさせていたものである。
- また、支部長の肩書きと「暴力団」との関係を背景に、旧三和銀行(現東京三菱UFJ銀行)から巨額の融資を引き出していた。
- 部落解放同盟支部長の肩書きを悪用したエセ同和行為という差別性
- 「エセ同和」とは、「被差別部落は怖い」「被差別部落は何をするかわからない」といった世間の差別意識につけこみ「同和問題解決のため」との口実で利権をあさる行為である。部落解放同盟や部落出身者は、こうした「エセ同和」行為に対し、誰よりも強い怒りをもって抗議をしてきた。それは彼らの行動が、被差別部落や部落出身者に対する差別意識や偏見を増幅させることになるからである。
- これまで、私たちは「エセ同和」行為をする者が誰であっても許さないという立場を堅持してきた。今回の事件では、小西氏が部落解放同盟支部長の「肩書き」を悪用し、個人の私腹を肥やしており、部落解放同盟の内から「エセ同和」行為者が出たことになる。断じて許すことのできない差別行為であり、差別を助長した責任は免れることはできない。また、部落解放運動や部落解放同盟のこれまでの努力と社会的信頼を失墜させた責任は重大である。
- 暴力を背景に行政に対して便宜供与を求め続けたという問題点
- 小西氏は大阪市に対し多くの便宜供与を求めた。西中島駐車場の随意契約や大阪市職員を自らの秘書役として従属させていたこと、大阪市開発公社への収支報告書のねつ造、健康保険証の詐取、当直業務にかかる事業継続不正受給疑惑、吹田市の大阪市有地補助金失効にともなう事業継続要請など多くの便宜供与が発覚している。
- 大阪市は西中島駐車場は「同和対策事業」として出発したという。(※それが事実ならば、何故、実施団体が当時の《社》大阪市同和事業促進協議会《現・市人権協会》でなかったのか、重大な疑問が残る)小西氏は同盟支部長の「肩書き」を利用しつつ、契約を交わす団体として(財)飛鳥会を利用。さらに委託契約を長年継続させるために大阪市に便宜供与を求め続けた。同盟支部長の「肩書き」を悪用しつつ、さらにそれだけでは実現し得なかった要求を、暴力を背景として大阪市に求めてきた行為であると考えられる。
- 大阪府連・飛鳥支部の問題点と背景
- 現職支部長の不正を長年放置してきたという問題点と背景
- 部落解放同盟は、同盟規約に基づき「部落の完全解放、真に人権が確立された民主社会の実現をはかることを目的とする」という一点で組織された大衆団体である。運動の基本組織は部落を単位として成り立つ「支部」であり、支部長を選出するのは地元支部の同盟員である。
- 民主的な人権運動団体の組織形態として、ボトムアップともいえるこの形態は今も有効であると考える。しかし、小西氏の不正は大規模かつ長期におよんでいた。地元地域内における不正行為を大阪府連が明らかにすることは容易ではないが、大阪府連の取り得る組織指導のあらゆる可能性を駆使し、日常不断に労力を費やしてきたのかについては、真摯な反省と点検が求められる。
- 小西氏と暴力団関係者との不透明なつきあいは事件発覚まで継続されており、相当の額が暴力団の資金源にまわっていた事実が発覚している。こうした行為は、部落解放運動を隠れみのにしていたといわざるを得ず、そのことを見破れず是正できなかった指導責任は重大である。
- 支部段階における不正や問題行為をチェックする機能が十分でなかった。支部の自主性を尊重するという姿勢がこうした不正行為に対して極めて無防備であったことは否定できない。
- 支部長交代を実現できなかったという問題点と背景
- 府連大会や支部長会議など各支部の責任者を招集する会議に小西氏が出席したことはない。地元飛鳥支部においても10年以上支部大会が開かれることなく、支部執行委員会もほとんど開催されていない状態にあった。つまり、ボス支配が広がり、飛鳥支部の部落解放運動も活動家も小西氏の支配下に事実上おかれていた現状にあった。
- 大阪府連は支部に対して組織強化のための基本方針を示し実現を求めてきた。しかし、それが飛鳥支部においては守られることはなかった。小西氏は、役員を選ぶべき年一回の支部大会も開催せず支部長を続けていた。こうした現実に対して、大阪府連の組織指導の弱さを痛烈に反省するものである。
- 長年の不正を見抜けなかったという問題点
- 飛鳥支部における小西氏のボス支配の弊害を危惧する材料は、組織の表面に幾つかの課題として現出していた。それは、支部長自らの府連会議への欠席という問題であり、近年、支部大会が開催されていなかったという事実である。大阪府連が組織方針として提起している方向と相容れない飛鳥支部の実態が存在していたにもかかわらず、十分な組織指導ができていなかった。
- 組織改革に停滞はなかったか
- 部落解放運動に参加するにあたって、過去に暴力団の構成員であったか否かは問われることはない。どのような立場の人であろうと、差別撤廃・人権確立にむけて、人間変革の可能性を追求することは部落解放運動の大きなテーマのひとつである。過去がどうであれ真面目に部落解放運動にとりくむ仲間は、全国にも多数存在し活躍している。それが部落解放同盟という地域を拠点とする大衆運動の大きな特徴でもある。しかし反面、地域を基盤とする大衆運動は、その地域に居住していれば同盟員として活動できるという側面から党派活動を根づかせ、党利党略による支部運営がこれまでにも一部の地域でみられた。そのことによって地域住民が二分されるという悲劇もあった。
- 党派活動と暴力による地域支配に対して、大阪府連は毅然たる態度で対処し、その地に部落解放運動の拠点、荊冠旗を打ちたててきた。組織運営にセクト主義や、ボス支配が持ち込まれることのないように注意を払ってきたが、不充分さがあったことは否定できない。
- 飛鳥支部においては執行委員会、支部大会も定期的に開催されていなかった。こうした事実は、支部組織が硬直し、機能が停滞していたことを物語っている。大阪府連は毎年、支部大会の開催状況や役員体制、当該の自治体との交渉などの状況について、情報等を収集し、飛鳥支部において支部大会が定期的に開催されていないこと、自治体との公式の交渉が行われていなかったことなども把握していた。本来、組織指導すべき対象であるとの認識もあったが、大阪府連主催の集会参加等の状況も勘案し一定の活動は展開されているとして強力な組織指導にはつながらなかった。
- 大阪府連が呼びかけた集会等には、他の支部と比較しても飛鳥支部からは日常的に積極的な参加があった。これらのことから支部として十分機能していると認識し、組織指導までの方針を持たなかった。しかし飛鳥支部では、大衆の参加による行政交渉はなく、小西氏は「ボス交渉」で様々な施策を誘導してきていた。これらの点について、府連として十分に情報収集ができていない点も含めて、組織のあり方、その評価のあり方に関して、詳細に検証し、再構築する必要がある。
- 飛鳥会事件は、部落解放運動の「解放が目的、事業は手段」という基本原則を逸脱した事件でもある。小西氏は、「地元雇用のために」という名目で運営委託を受け既得権と成果を私的なものに流用し、暴力団とつながり、その利益を供与していた。支部の責任も大きいが、この事実を明確に把握できなかった府連としての責任も存在する。
- 力量の違いはあれ、府内の各支部において第三期部落解放運動への取り組みは、一歩一歩前進してきているという自負があった。各支部の組織の内側にまで点検が行き届かなかったのは、この現状認識の甘さと地域における部落解放運動への過信にある。
- 今後、地域の独自性を尊重しつつも、府連の組織改革方針との距離をできるだけ縮めるためのオルグ作業が極めて重要となる。それは高度情報化の時代にあっても顔と顔をあわせながら府連の方針を丁寧に説明し、支部の現状や悩みを共有する対話のなかでこそ実現するものである。各支部の悩み、思い、願いを十分に反映した「府連方針」を率先垂範して実行していく支部執行部を確立していくためには、組織指導の強化と次代を担う人材の育成が急務である。
- 部落解放運動への影響
- 社会的信用・信頼の失墜
- 大阪府連ならびに各支部が、長い年月をかけて積み上げてきた部落解放運動は、被差別部落周辺地域の住民やPTA、自治会などをはじめ多くの府民の理解と他の差別問題に取り組む当事者団体や市民団体、企業、宗教、労働組合などの関係団体・機関から社会的な信頼を得てきた。しかし、今回の飛鳥会事件により、部落解放同盟、部落解放運動の社会的信頼は大きく失墜した。
- 大阪府連は第45回定期大会(98年)で「部落解放運動には夢があるー第三期部落解放運動論」を提案。「福祉運動・みどりの風」「ネム21」という市民運動を結成し、広く市民に社会的な差別・人権問題を提起し、政策提案型の運動を展開してきた。各支部においても周辺地域の住民の参画と協働による人権を基軸とした市民活動が展開されている。第三期運動論の提案から10年。まだまだ緒についたばかりの支部もある中、今回の事件が発覚したことにより、地区内外から「同盟離れ」「運動離れ」を加速させることが危惧される。
- 飛鳥会等事件の人権尊重を基軸とした市民運動への影響は計り知れないものがある。とりわけ、地元でその運動を積極的にリードし部落解放運動の展望に、自らの夢を重ね合わせてきた活動家・運動家に焦燥感と、運動への不信を抱かせている。
- 差別意識の拡大・助長に対する懸念
- 大阪府民の人権意識調査結果(2005年度実施)でも明らかになっているように、同和地区(被差別部落)に対するマイナスイメージが、95年調査と比較してもさらに強まっている。今回の事件は個人の犯罪であるにもかかわらず、部落解放運動(同盟組織)や同和行政すべてが批判の的にされた結果、同盟組織はもとより、同和地区、部落出身者に対する差別意識が拡大・助長された。
3 大阪市の問題点と背景
- 大阪市の差別性と問題点及び背景
- 不当な便宜供与に屈したという問題点
- 二度にわたる府連見解で明らかにしてきたように、「飛鳥会事件」と同和問題解決をめざす同和行政とは一切無関係である。「飛鳥会事件」の真相とは、部落解放同盟の支部長としての肩書きと暴力団関係者としての圧力を背景に小西氏が不当な利益供与を要求し、それに大阪市が屈し続けたということである。
- にもかかわらず事件以降、大阪市はあたかも同和行政そのものが飛鳥会事件を生み出した温床であるかのような説明を行い、マスコミはその発表にもとづく報道を繰り返し行ってきた。
- 責任を同和行政にすり替えたという問題点
- 「地対財特法」失効後の同和行政は、2000年に「同和問題解決へ向けた実態等調査」を実施し、部落差別の実態を検証、学識経験者、市議会議員、大阪市も参画した「大阪市同和対策推進協議会」による「意見具申」を受けて進められてきた。
- 「意見具申」は「教育・啓発や就労などの面でなお課題が残されている」とし、国の意見具申をふまえ、「同和地区および同和地区住民に限定した特別対策事業は廃止すべきであり、今後の残された課題の解決については、一般施策での対応を検討する必要がある」とした。
- その上で、法失効後の同和行政の基本目標が「部落差別を解消し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現をめざし、同和地区内外の住民が協力して自らのまちづくりを進めていくための協働関係を構築し、一体となったコミュニティの形成を図ること」にあることを明らかにした。そして「市民の人権意識の高揚を図る」「地域住民の自立と自己実現を支援する」「地区施設の活用を図り、同和地区内外の住民の交流を促進する」などの諸条件の整備を図ることが大阪市の行政責任であることを明らかにした。
- 飛鳥会事件をきっかけとした大阪市の一連の同和行政の「見直し」は、部落問題の根本的解決をめざす真の「同和行政」と、部落解放運動の影響力を悪用して私腹を肥やす行為、いわば「エセ同和行為」とを混同させ、問題の本質を曲解するものである。同和問題解決へむけた行政責任を放棄するものであると言わざるを得ない。
- 私たちが法失効以前から同和行政の改革・整理を提案してきたことは、これまでに公になっている資料や新聞報道で明らかである。それを真摯に実行しなかったのは大阪市であることを明確にすべきである。
- 同和行政の縮小・廃止を画策しているという問題点
- 大阪市は部落問題を解決するための同和行政をどのように進めようとしているのかを当事者や市民に明らかにすべきである。これは同和行政に限ったことではなく、市政改革すべてにあてはまることである。
- 部落差別が存在する以上、大阪市は同和問題を解決する行政責任を放棄することはできない。「意見具申」が指し示した「人権尊重の地域社会づくり」へむけた「差別意識解消」「地区住民の自立支援」「同和地区内外の協働の推進」のための条件整備という大阪市の行政責任をどのように果たすのか、同和行政の「見直し」にあたって今こそ大阪市は明らかにすべきである。
4 メディア報道及び企業の問題点と背景
- メディア報道の問題点
- 予断と偏見に基づく取材・報道で「不当な一般化」を拡大させた
- 事件発覚当初、各メディアは一斉に飛鳥会事件の背景として「事実上の同和対策事業」があると報道した。先に述べたようにこれは明らかに誤りであり、今なお潜在的に存在する被差別部落や同和行政に対するマイナスイメージや偏見を、読者・視聴者の中に増幅させた。その後も、予断を持って取材がなされ、行き過ぎた報道や誤った報道へとつながっている。
- 現実を正確に捉えるためには単なる事実だけではなく、事実の背後にある歴史的経過や背景を正確に捉えなくてはならない。内閣同和対策審議会答申をはじめとする同和行政の本来の趣旨、本質にふれることなく、一方的な視点だけで表面的な報道が繰り返された。
- 本来、メディアというのは、読者である市民側に立ち、行政など権力を行使する団体・機関等を監視するのが使命である。飛鳥会事件と真の同和行政とを意図的に混同しているかのごとき報道があふれている。これは「同和バッシング」を後押しし、この問題を通じて、部落差別を強化することにつながっている。
- 今なお同和行政の中で「特別措置」が継続されている様な印象を与えるだけでなく「同和行政がすべて不正で不透明」との誤った認識と理解、加えて「同和の人は悪いことをしている」等の「不当な一般化」を拡大させている。これらは社会の公器としてのマスコミに求められる部落差別の撤廃、同和問題の根本的解決への役割に逆行する行為である。
- 1965年の同対審答申は「同和行政は、過渡的な特殊行政でもなければ、行政外の行政でもない。部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」と明記した。こうした真の同和行政の精神が忘れ去られ、法律が失効後も同和行政が進められていることがまるで犯罪であるかのように市民に宣伝されていることに強い憤りを覚える。
- 企業(銀行)の問題点
- 企業(銀行)の差別性とは何か
- 暴力団関係者としての圧力を背景に不当な要求を突きつけ、銀行側がそれに屈したところに今回の問題があることは明らかであるが、焦点は銀行が小西氏の犯罪に手を貸すようになっていく背景に「同和問題」が内在していたかどうかである。これらに関して正確な情報は把握できていない。
5 背景克服へ向けた具体的課題
- 暴力団及びその力を背景にする者の徹底した排除
- 人権と暴力は相対立する概念である。飛鳥会等事件の背景にはそれらが存在していた。人権確立を目指す部落解放運動に僅かでも暴力を容認する風潮があってはならない。そのために暴力団及びその力を背景にする者の徹底した排除を行う。
- 現在の同盟員はもとより今後新たに同盟員になろうとする者に対しても、それらに対する誓約と同盟の理念を徹底する。
- 組織の内外を問わずエセ同和行為の根絶に着手する
- 組織の内外を問わずエセ同和行為に対しては、これまで以上に毅然たる対応でのぞむものとする。そのため、大阪府連にエセ同和対策本部(仮称)を設置し、本格的な本部体制を確立する。
- また、苦情相談や同盟員からの相談などを常時受け入れることのできる体制とする。
- 行政との新たな関係の構築ー情報の全面公開による「市民的合意」へ
- 「部落差別が現存するかぎり同和行政は積極的に推進されなければならない」という基本理念を今後とも発展させていくという立場をあらためて明らかにするとともに、部落にのみ単独で実施されている事業が存在しているならば、「今後そのような施策はいっさい要求しない」との立場を明らかにする。
- 部落差別の撤廃に必要な施策については、引き続き要求していくが、その施策が「部落にだけ」「特定の地区にだけ」という施策に埋没しないよう一般施策として実施するよう求めていく。
- 人権確立に向けた広く市民に納得できる施策となっているか、大阪府連で常に点検できる体制を構築する。
- 10月11月を組織改革強化月間としてとりくむ
- 同盟員による民主的な手続き(選挙等)に基づき支部執行部が選出されているのか、一部の幹部だけでなく、大衆参加による行政交渉が展開されているのか、組織の民主的運営がなされているのかといった問題について、大阪府連オルグ団を新たに結成し、各支部へのオルグ行動を一斉にスタートさせる。
- 支部執行委員会を皮切りに活動家集会、班別同盟員集会などすべての同盟員と府連オルグ団との対話を実現する。そのため、10月から11月を「組織改革強化月間(仮称)」と位置づけ取り組む。
- 来年の大会(07年4月)までに同盟員の質的向上、役員選出にかかわる資格基準の問題などを検討し、同盟員の再登録も視野に入れた議論を開始する。
- 「大阪府連組織改革検証委員会」の創設
- 組織内の行政依存体質を徹底して克服するため、大阪府連の取り組みや各支部での活動が、市民社会から信頼されるものとなっているのか、「地区(部落)対策」に陥っていないかなどを検証する「大阪府連組織改革検証委員会(仮称)」を創設し、必要に応じて外部の法律家をはじめとする有識者の参画を求める。また、広くパブリックコメントも求める。
- 大阪府連は「委員会」からの提言を最大限尊重し、個人、組織を問わず厳しい対処を迫る組織指導を遂行する。
- 今後も未だ明確になっていない飛鳥会等事件の解明に取り組み、大阪府連発展の糧にする。