1. 「21世紀を人権の世紀に!」といわれています。しかし、日本社会では部落出身者、アイヌ民族、沖縄コミュニティの人びと、外国籍者、障害を持った人びと、女性、子どもなどマイノリティに対する人権侵害や差別事象が依然として解消していません。新自由主義的な市場原理優先政策によって、貧富の格差が広がり、労働者の権利が侵害される状況が頻発しています。また、9.11以降の反テロ戦争キャンペーンの影響も加わり、移住労働者を含む外国籍者に対する排外主義的風潮もみられます。こうした人間の尊厳を軽視し、または無視する事象や風潮は民主主義社会にとって無視できない状況となっています。
たしかに前世紀末から今世紀にかけて、日本ではさまざまな人権立法が成立し施行されてきました。改正男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法(1999年)、人権教育・啓発推進法、児童虐待防止法(2000年)、配偶者等からの暴力防止法(DV法、2001年)などです。また国際人権規約をはじめとする人権諸条約を批准し、これに加入しています。
これらの条約や法律は完全なものではありませんが、人権社会の確立にとって一定の成果といえます。また全国の自治体では500を超える人権条例がすでに制定されています。
しかし、日本では包括的な人権法や差別禁止法は制定されておらず、人権救済制度の要である政府から独立した国内人権機関もいまだ成立していません。
2. いまや、日本社会において人権を確立するため、新たな人権救済制度の創設を含め、人権の法制度のありかたを検討し、人権の法制度についての全体構想を提言すべき時期にさしかかっています。このため、私たちはさまざまな団体・個人からなるゆるやかな研究会的組織として、「人権の法制度を提言する市民会議」(仮称)(略称:「人権市民会議」)の結成を準備しています。
3. 「人権市民会議」は、さまざまな人権課題に取り組んできた団体や個人が互いの活動や取り組みを尊重しつつ協働する横断的なネットワークとし、当面2006年12月末までの1年間の時限的組織とします。「人権市民会議」は以下の4つの基本的な視点を大切にします。