2月27日、大阪市内で、2007年1月末にオーストラリア・シドニーで開催された国際標準化機構(ISO)の社会的責任に関する作業部会・第4回総会の報告会が、(財)日本規格協会主催で開かれた。報告者は、日本からの総会参加者である経済産業省、日本経済団体連合会、損害保険ジャパン、日本労働組合総連合会、などであった。その概要を簡単に紹介したい。
企業だけでなくすべての「組織の社会的責任」を、第3者認証規格ではなくガイダンス規格(手引き)として規格化する作業が2005年よりISOで進められている。既に「第2次作業文書」が作成されており、「序文」「適用範囲」「引用規格」「用語の定義」「SRの背景」「SRの原則」「SRの項目」(=人権をはじめ環境、労働慣行、消費者課題、コミュニティ参画・社会開発、組織統治、公正な事業活動)「SR実施のガイダンス」「ガイダンス付属書」として構想されている。
シドニー総会は、54カ国28国際機関から275名(日本からは14名)が参加し、「第2次作業文書」に対する5176もの意見を整理し、「第3次作業文書」の作成準備と今後の方向付けを行なった。そして?ISO26000は、すべての組織に、SRに関する実用的なガイダンスを提供することが目的、?マネジメント・システム規格でない実施のガイダンスのあり方など、ISO26000の基本性格にかかわる論点が改めて整理された。
また今後の日程としては、2007年11月―第5回総会(オーストリア・ウィーン)で「第3次作業文書」の議論と「第1次委員会文書」の作成・投票、2008年8月―第6回総会(チリ・サンティアゴ)で「第1次委員会文書」の審議、同年12月―規格文書の投票、2009年6月―第7回総会(シンガポール予定)で規格文書の審議、同年9月か10月―規格文書の最終投票、同年11月―ISO26000発行、が確認された。
<参照>(財)日本規格協会(JSA)のホームページ(http://www.jsa.or.jp/stdz/sr/sr.asp)
(文責:中村清二)