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2007.06.05
意見・主張
  

大阪市教育委員会へ第2次署名提出と要請を実施
「人権教育企画室廃止問題」に関して

 去る5月29日午後4時から大阪市教育委員会等へ、「人権教育企画室廃止問題」に関して第2次署名(34名分)を提出するとともに要請を行った。この日の要請を行ったのは、署名の呼びかけ人の中野陸夫・大阪教育大学名誉教授と、友永健三・部落解放・人権研究所所長。大阪市教育委員会からは安藤公仁次長等が対応。

 中野名誉教授からは、「人権・同和教育に先進的に取り組んできた大阪市が、人権教育企画室を廃止するとの新聞報道をみて驚いた。実質的には廃止でなく、これまでの取り組みを継続するとのことのようであるが、人権教育企画室の看板をはずしたことによる否定的な影響は拭いがたいものがある。今回各方面から寄せられた署名と要請を真剣に受け止めていただきたい。」との申し入れがなされた。

 友永所長からは、「寄せられた署名に付された意見をみると、<1>大阪市人権教育・啓発推進計画等を踏まえたとき、人権教育・啓発の充実こそが求められている、<2>人権侵害の状況が複雑化、深刻化してきている現状を考慮したとき、総合調整、企画立案機能を持っている人権教育企画室の機能は重要性を増している、<3>なぜ人権教育企画室を廃止するのかの説明責任が果たされていないし、関係者との話し合いがなされていない、<4>他の自治体の取り組みに否定的な影響を与えるだけでなく、国際的にも大阪市のイメージが後退する、といった指摘がある。教育委員会としてもこれらの指摘を真摯に受け止めて、善処してもらいたい。」との要請がなされた。

 安藤教育次長からは、「新聞報道は、市民に誤解を与えた面がある。關市長や永田教育長は、機会がある度に人権教育・啓発の重要性に言及していて、これまでの取り組みを継承・発展させ、現代的な課題にも応えていくという立場である。いずれにせよ、今回寄せられた署名と要請については、教育長等にも報告し真剣に対応していきたい。」との回答があった。

 なお、3月30日に大阪市に提出された第一次署名24名分と併せて58名から署名(意見を含む)が寄せられたことになるが、署名を寄せられた方のお名前と意見は、以下に掲載されています。


大阪市の「人権教育企画室」廃止について、撤回と関係者との協議を求める要望書と賛同署名が提出されました。

後藤幸雄教育次長(左)に要望書を手渡す寺木伸明教授  去る2月27日付けの「朝日新聞」夕刊に、大阪市の「人権教育企画室廃止」が、大きく報道されました。大阪市内の人権状況や大阪市民の人権意識の状況、「人権教育および人権啓発の推進に関する法律」が施行されていること、「人権教育のための世界プログラム」が取り組まれていること、さらには、大阪市自身が、「人権教育・啓発推進基本計画」を策定していること等を考慮したとき、人権教育企画室の拡充こそが求められているにもかかわらず、その廃止は、全く理解できない決定です。しかも、今回の突然の廃止決定は、大阪市内において人権教育に取り組む人びととの事前の十分な協議もなしになされたもので、民主的な手続き面でも重大な問題を孕んでいました。

 今回の大阪市の決定が、単に大阪市内における人権教育の後退をもたらすだけでなく、全国的にも否定的な影響を及ぼしかねないものでもあることから、3月20日付で、上杉孝實(京都大学名誉教授)、寺木伸明(桃山学院大学教授)、友永健三(部落解放・人権研究所所長)、中野陸夫(大阪教育大学名誉教授)の連名で、大阪市「人権教育企画室廃止」に関して「対話を求める要望書」がとりまとめられ、人権教育に関心を寄せる関係者に賛同署名が呼びかけられました。

 この呼びかけに応え、3月29日時点で、志水宏吉さん(大阪大学)、新保真紀子さん(神戸親和女子大学)、田中欣和さん(関西大学)、中尾健次さん(大阪教育大学)をはじめ24名から賛同署名が寄せられました。3月30日午後、寺木教授・友永所長の両名が、大阪市を訪れ、大阪市教育委員会の後藤幸雄教育次長と市民局の名倉嘉史理事等へ要望書と賛同署名が手交されました。後藤次長からは、「人権教育室は廃止されるが、教育委員会の指導部に人権教育担当課長等がおかれ、人権教育が後退することのないよう努力したい」との説明がありました。これに対して、寺木教授・友永所長からは、「実質的に人権教育が後退することのないよう努力してもらうことは理解できるが、人権教育企画室自体が廃止されたとの報道が世論、特に教育界に与えるマイナス影響は無視できないものなので、要望の趣旨を真剣に受け止めていただきたい」との要請がなされました。

 賛同署名は、その後も寄せられていて、4月5日現在32名に達しています。賛同署名は引き続き募られています。


2007年3月20日

關 淳一 大阪市市長 様
永田祥子 大阪市教育長 様

上杉 孝實・京都大学名誉教授
寺木 伸明・桃山学院大学教授
友永 健三・(社)部落解放・人権研究所所長
中野 陸夫・大阪教育大学名誉教授

「対話を求める要望書」
―大阪市「人権教育企画室」廃止に関して―


2007年2月27日付け「朝日新聞」夕刊に、大阪市の「人権教育企画室廃止」が突然、大きく報道されました。大阪市教委は3月1日の市議会で、廃止の理由として、<1>「効率的な業務運営に向けた内部組織の改編」、<2>「業務量の減少」、の2点を答弁しています。しかし他方で、「いじめ、児童虐待など子どもをめぐる人権侵害事象も生起するなど、人権教育推進課題はより重要性を増しており、今後とも引き続き実効性ある効果的な取り組みを図っていく必要がある」とも答弁しています。

これだけ見ても、廃止という措置は非常に矛盾していますし、大阪市が人権教育企画室を廃止しなければならない理由は不明です。そして、何よりも関係者に全く説明もなく、市としての説明責任を果たさず、進められていることに大きな危惧を抱かざるを得ません。

さらに私たちは以下の理由から、廃止ではなくむしろ強化充実が必要だと考えます。第1に、大阪市内で起こっている人権侵害の実態や人権意識の現状を改善していくため、第2に、国連・人権教育のための世界プログラムや人権教育及び人権啓発の推進に関する法律を自治体で一層具体化していくため、第3に、大阪市が2005年に定めた人権教育・啓発基本計画を具体化していくため、です。

また「人権教育企画室の廃止」は、大阪市だけの問題に留まりません。全国でいち早く同和教育や人権教育に取り組み、牽引してきた大阪市の今回の措置は、市政の歴史に汚点を残すだけでなく、全国的にもマイナスの影響を与えかねません。

こうした点から、私たちは今回の人権教育企画室の廃止を撤回し、関係者との対話を行い、合意を作り出していくことを強く求める次第です。


私も、大阪市「人権教育企画室」廃止に関して対話を求めます
(順不同 敬称略)


名前        内山 一雄

所属        前天理大学教授

コメント     一体、これは何事でしょうか。「人権教育企画室」といえば大阪市の人権施策の企画・立案等の要ではありませんか。市は1997年8月の「大阪市人権教育のための国連10年行動計画」をはじめ、いくつもの人権方針・計画等を立案・施行してきているではありませんか。これらをどうするつもりでしょうか。識字に関しては「国連識字の10年」(2003-2012年)の丁度中間点の今日、まさに大切な時期でもあります。この時、このような方針を出されるなど無謀というほかありません。是非とも対話に応じ語説明いただきたいと考えます。

名前        川向 秀武

所属        福岡教育大学名誉教授

コメント     私は大阪での人権・同和教育のこれまでの取り組みを評価してきましたし、今後の動向にも期待しておりました。ぜひ、対話の機会をもつように祈念しています。

名前        志水 宏吉

所属        大阪大学

名前        新保 真紀子

所属        神戸親和女子大学

コメント     今、この時期だからこそ、行政の真価が問われていると思います。全国に先駆けて同和教育・同和行政のリーダーシップをとってきた大阪市教育委員会の今後に強い関心を寄せています。「初心忘れるべからず」まず関係者との対話から合意できる点を広げていただきたいと、強く要望いたします。

名前        友永 健三

所属        部落解放・人権研究所

コメント     近年の人権状況と部落差別をはじめあらゆる差別を撤廃していくという目標を踏まえたとき、人権教育企画室の拡充こそ求められています。全国に先駆ける人権確立にむけた大阪市のこれまでの実績を水泡に帰すような人権教育企画室の廃止を見直されるよう強く要請します。

名前        中尾 健次

所属        大阪教育大学

コメント  「対話を求める要望書」の内容に全面的に賛同いたします。大阪教育大学では、さまざまな人権系の授業を開講しておりますが、2006年度の受講生は学部だけで延べ4500名を越えます。
参考までにその内訳を示しておきましょう。
「部落問題概論I」(前期開講1086名)/「部落問題概論II」(後期開講1030名)/「『障害』者と人権」(前・後期開講919名)/「多文化共生の社会をめざして」(前・後期開講661名)/「ジェンダーとセクシュアリティ」(後期開講217名)/「同和教育の研究」(前・後期開講610名)/「人権教育論」(前期開講14名)
 全校4000名に満たない規模の大学で、延べ4500名を越える学生が、こうした授業を受講しているわけで、若い世代の関心の高さがわかります。同時に、その背景に、部落差別をはじめさまざまな人権侵害の事実があることを示しています。大阪市の学校教育において、大阪教育大学が果たしてきた役割については、いまさらいうまでもないでしょう。その歴史は、教育伝習所時代から師範学校を経て、大阪学芸大学、大阪教育大学へとつながり、今日に至っております。そして、その教育実践の中で、同和教育・人権教育は中心的な位置を占めてきました。そして現在も、その役割を終えていません。大阪市教育委員会が、大阪教育大学に対する要望書の中で、人権教育の充実を求めてきたのは、2年ほど前になるでしょうか。他者への要望は、必ず自らにも返ってくる事を痛感すべきです。いずれにせよ、大阪市「人権教育企画室」の廃止は、人権問題の現実を無視した暴挙と言わざるを得ません。人権教育企画室の廃止撤廃を強く求めます。

名前        中川 幾郎

所属        帝塚山大学法政策学部

コメント     一方的に後退する大阪市の人権行政に大きな不安を覚えます。

名前        室田 卓雄

所属        流通科学大学

コメント     大阪市の「人権教育企画室」の廃止は時代の逆行です。住みやすい社会、一人ひとりの人権が大切にされる社会をつくるためには、行政の仕事、役割が大きいです。

名前        門田 秀夫

所属        関西外国語大学名誉教授

コメント     大阪市教委は、市の人権教育企画室廃止について「業務の効率化」を理由にしているが、人権に対する考え方やとらえ方は、地方自治の理念の根幹に関わるものであり、人権教育は正に、このことを具体化する原点なのである。従って、「効率化」の問題とは本質的に違っている。全く理由にならない。それは、市行政当局が、差別の現実から眼をそらしこれまで「所得格差の拡大」と「労働権の侵害」を放置して来た中央の政策に追随しようとする意図のように思われる。断じて容認できない。速やかに私たちとの対話に応じ「廃止」案の撤廃を求める。

名前        桜井 健雄

所属        弁護士

名前        佐野 道夫

所属        四国学院大学

名前       國歳 眞臣

所属       鳥取大学名誉教授

コメント   これからの地方自治において一番大切なのは対話(コミュニケーション)です。特に人権問題において問題なのはコミュニケーションをいかにはかり、人間関係の断絶を防ぐことにあります。

名前       今西 幸蔵

所属       天理大学

コメント   人権侵害の実態を見ると、残念ながらまだまだ多くの問題があります。
国際社会も人権への取り組みをより一層強めています。そうした中で、貴市の人権教育の中核としての人権教育企画室の役割を考えると、今回のような措置はとうてい理解できるものではありません。室の廃止に反対します。関係者との対話を行ない、合意を作り出して行く事を求めます。

名前       加藤 昌彦

所属       関西外国語大学

コメント   差別が充満する現代社会においては、差別から子どもたちと人々を守る事は、政治、そして直接には地方自治の責任であり義務でもあります。人権は日本国憲法第12条の条文にも「不断の努力によって、これを保持しなければならない」とあります。大阪市はこれまでの大きな努力をされてこられましたが、その蓄積を放棄してはならない、と考えます。
 私が所属する大学の大学新入生は、小中高で人権教育を受けてきた学年が年々、減少しています。それは今日の人権行政のあり方を関係していると思います。この上、行政の指導組織がなくなると、人権教育が同対法以前の状況になってしまいます。
 同対法の施行時から、事業に対して啓発の遅れが識者から指摘されてきました。教育・啓発はねばり強い継続によって、大きな変化を社会にもたらします。
 今一度、再考のことをお願いしたいと思います。

名前       金 光敏

所属       特定非営利活動法人 コリアNGOセンター

コメント   行政が人権を重視する調整力こそが重要な時代となりました。数値化、経済的効率化できない中にこそ、人権の核心部があります。今回の事が機会となり、人権行政が前進するのか後退するのか、重大なターニング地点に立っています。よりよい人権を基軸にすえた行政、社会づくりについて議論を深めるべきです。

名前       赤塚 康雄

所属       元天理大学人間学部

コメント   人権教育企画室設置・拡充の経緯は、『大阪市戦後教育行政資料(6)』(大阪市教育研究所編、昭和59年刊(13頁、229-238頁)によれば、昭和44年度に同和教育の推進に関すること及び同和教育における連絡調整に関することを担当する同和教育指導室が置かれた事に始まり、昭和50年度に至って同和教育に係る企画調整に関することを任務とする同和教育企画室に改組された。さらに昭和52年度それまでの課規模の同企室から部レベルの企画室へ発展昇格した事がわかる。同和教育の深化と拡充に照応して同企室の機構も整えられてきたのである。そのうえ近年、あらゆる差別の克服と解消を目指して人権教育企画室と改められるに至っている。部落差別をはじめとして差別が解消に向かっているのは確かだが、いじめなどなお深刻な人権侵害が残っている。そうした時期に一挙に人権教育企画室が廃止になることは理解しがたい。人権教育企画室拡充の歴史から学んで欲しいと思う。

名前       卜田 真一郎

所属       常磐会短期大学

コメント   時代の「ムード」「空気」に流されるかのような「人権教育企画室」の廃止の動きに強い違和感を覚えます。「人権」が危機に晒されている現状の中、更なる人権教育の充実を人権教育の実践の先導をしてきた大阪市にはぜひ果たし続けてほしいと願っております。故に、大阪市との対話を求める動きに賛同いたします。

名前       吉田 幸一

所属       大阪芸術大学

名前       壺井 勘也

所属       大阪芸術大学 環境デザイン学科教授

コメント   相互理解と対話を重ねる事により、よりよい人間関係が生まれる。

名前       吉岡 敏夫

所属       大阪芸術大学 芸術学部 映像学科

コメント   「対話を求める要望書」へ賛同します。

名前       大田 創

所属       大阪芸術大学 舞台芸術学科

名前       新原 祐二

所属       大阪芸術大学

名前       山本善一郎

所属       大阪芸術大学 美術学科

名前       近藤 大

所属       大阪芸術大学 写真学科

名前       梅田昌彦

所属       大阪芸術大学

名前       秋本 正之

所属       大阪芸術大学 就転部

名前       芝野 晴夫

所属       学校法人 塚本学院

名前       樋口 光治

所属       大阪芸術大学音楽学科

名前       小堀 豊子

所属       大阪芸術大学

名前       工藤 皇

所属       大阪芸術大学

名前       寺西 剛

所属       大阪企業人権協議会

名前       藤川 賀世子

所属       大阪芸術大学 演奏学科

名前       在間 秀和 弁護士

所属       大阪弁護士会

名前       川村 暁雄

所属       神戸女学院大学教員

名前       小浦 義教

所属       学校法人 大阪産業大学 人権教育啓発室

名前       伊藤 悦子

所属       京都教育大学

名前       鈴木 祥蔵

コメント   大阪市の「人権教育企画室」が廃止になることは、私として容認できるものではありません。多くの声を集め反対してください。

名前       種坂 隆志

所属       学校法人 大阪歯科大学 総務課 人権室長

コメント   大阪市の人権行政に関する先進的取組を一層推進される事を希望します。 2007.3.29

名前       泉 恵機

所属       大谷大学

コメント   たとえ廃止するにせよ、とにかく徹底して説明または話しをしていかなければいけないのは当然であると考えます。

名前       上田 誉志美

所属       関西大学

コメント   理由如何に関わらず教育の世界に行政の調整の窓口を廃止する事は、市民にマイナスに動くことは明らかで、是正をお願い申し上げます。

名前       内田 博文

所属       九州大学法学部

名前       北山 雅博

所属       関西学院大学

名前       安達 五男

所属       武庫川女子大学 名誉教授

コメント   兵庫県にあたえる悪影響も大きいと思います。研究者の立場から不信をかうような実態に対しては、それを糺し 再生していきたいと念じております。

名前       竹口 等

所属       京都文教大学教員

コメント   人権教育は、人類の貴重な財産を育む不可欠なものであって、終わりのあるものではありません。とりわけ、人権を侵害される立場にある人々が存在する中、その人々に対して、方針の変更については、現状を踏まえ、責任を持って説明し、意見を交換することが必要と考えます。

名前       上杉 聰

コメント   部落差別の存在を否定するかのごとき今日の人権教育企画室の廃止方針は、とうてい納得できるものではありません。解放運動の側の不祥事とは大阪市の責任もあり、それに便乗した廃止方向は責任の放棄でもあります。

名前       上杉 孝實

所属       京都大学 名誉教授

コメント   国際的にも国内でも、また大阪市においても人権教育の必要性が増している今日、人権教育企画室の拡充が課題です。関係者・市民との十分な対話に基づいて充実策を講じることを強く求めます。

名前       大谷 英人

所属       高知工科大学

名前       奥田 均

所属       近畿大学人権問題研究所

コメント   人権教育企画室の廃止に、どのような積極的意味があるのかぜひお聞かせください。

名前       北崎 豊二

所属       大阪経済大学名誉教授

コメント   人権教育の重要性が増している今日、市が人権教育企画室を廃止するということは、全く理解できません。

名前       木下 健二

所属       大阪市住吉人権文化センター 識字と自立促進訓練事業担当

コメント   “大阪市は一体何を考えているのか”と、声を大にして叫びたいと思います。
まず、それはさておき、部落差別をはじめ、障害者差別、在日朝鮮人差別等々、今まで部落解放運動を中心にして、あらゆる差別の解消につとめてきたけれど、国民の意識は、たてまえの上では変わってきたように見えても、差別意識は単に地下へもぐっただけで、ほとんど払拭されていないと言ってもいいのが、まぎれもない実態です。
学校教育を見ても、どれだけの学校で子どもたちの意識変革ができているでしょうか。いや、子どもたちと言う前に、教師一人ひとりの意識が、どれだけ人権問題への認識を深めてきたでしょうか。
 最近、小・中学校での「いじめ」や、いじめによる自殺行為が多発している状況が有る中で、人権問題は一層重要な課題であることは明白な事実です。子ども達に人権問題をどう認識させるかという事は、学力と同時にきわめて大切な中身です。
 以上のような状況をなくしていくのは、国民は勿論、教育関係者一人ひとりの問題であって、人権教育企画室だけの責任だとは決して申しません。しかし、このような実態があることは、十分承知であるにもかかわらず、今回「人権教育企画室の廃止」という大阪市の動きに対して、強い怒りと悲しみを覚えるのです。
 どうか、再度考え直してくださる事を、強く、強く要望いたします。

名前       桐村 彰郎

所属       奈良産業大学 名誉教授

コメント   新聞記事をみて、大阪市が明らかに人権行政を後退させる意図ではないか、と判断しました。
できるだけ、運動を支えていきたいと思っています。

名前       黒川 みどり

所属       静岡大学

コメント   詳細を把握しておりませんので、具体的な事が申し上げられませんが、広く納得の得られる説明を要望したいと思います。

名前       住友 剛

所属       京都精華大学

名前       曽和 信一

所属       四條畷学院短期大学

コメント   行政組織の中の何を廃止し、何を存続発展させる必要があるのか、というトータルデザインの描き方に見られるものの見方・考え方の問題が、今回の“廃止”問題の根底にあるのではないでしょうか。
私個人として、人権教育企画室の廃止を検討しているとすればそれに代わるより人権教育を推進しうる組織の再編成が必要だと考えます。

名前       高田 一宏

所属       兵庫県立大学

コメント   大阪市ならびに大阪市教育委員会の見識を疑います。冷静な判断を強く望みます。

名前       田中 欣和

所属       関西大学

コメント   <1>人権教育は教育をすべての人の人権にかかわるものとして推進しようというとき、その軸になるべきものですから、現在「人権教育企画室」を廃止すべき理由は認められません。
<2>部落差別は過去数十年のさまざまな取り組みによってその解消への道筋がついたという段階にあると考えます。これからが「仕上げ」の段階です。これまでの運動・行政・教育の総括の上で、最善の努力が必要です。ここで課題を放棄するならば、過去数十年の成果もあやうくなるでしょう。この観点からいっても、「発展的に再構築」された人権教育の企画推進にあたる機関を廃止すべきではありません。

名前       寺木 伸明

所属       部落解放・人権研究所 桃山学院大学

名前       外川 正明

所属       京都教育大学

コメント   人権侵害を受けている当事者との対話なくして、行政が進められることは国際法からしても国内法からしてもゆるされないと考える。早急な対話を求めます。