去る3月7日午後、2006年度図書資料室収集の府内市町村等発刊人権啓発・教育関係資料の分析検討会議が開催された。参加者は、府内市町村職員、研究所、大阪府人権協会のメンバーであった。
冒頭、上杉孝實さん(幾央大学・研究所理事)から収集資料についての分析報告がなされた。
概要は以下の通りである。
分類(発行主体を重点において分類すると)
1:人権全般(人権意識調査報告書、人権施策状況、人権作品集、人権文化、人権意識、人権教育・啓発・学習、人権行政、企業人権など)が多い。
- 人権意識調査報告書は、全国的には、少ないと思われるが2002年の法期限切れを踏まえると府内での発行は比較的多いといえる。しかし広報のための府民・市民向けの概要版作成がなされているのか確認が必要である。
- 市町村でも人権施策状況が出ているはずである。
- 人権作品集は、人権週間に取り組まれているはずだが収集できていない。
- 人権教育・啓発・学習が近年増加してきている。(ex)プログラムづくり
- 人権行政の指針づくり
- 企業人権
2:同和問題(同和問題、部落問題学習、同和保育)は最近減少傾向にある。
3:男女共同参画(男女共同参画、女性政策・関係施設職員研修ニーズ調査、男女共同参画施策推進状況、データブック、セクハラに関するアンケート、DV)
- 男女共同参画は増加傾向にある。
- 男女共同参画施策推進状況は、市町村でもあるはず。
4:子ども(子ども、子どものエンパワー、子どもの権利条約)
5:外国人(在日外国人教育、外国人サポーターハンドブック)
6:障害者(障害者、精神障害者)
7:その他(平和、国際理解、識字、ESD、福祉と人権、ニート問題)
傾向について
- 学習方法への関心が高まってきた。(学習の進め方、ワークショップ)
- データにもとづいて議論する。投げかけの方が主体的学習につながるのではないかという啓発が増える傾向にある。
背景
- 法の影響:女性、人権などの法整備が反映している。これに対し、同和問題は法期限切れ後減少傾向にある。
- 内容の定型性の変化:人々に理解してもらうためにある考え方を提示する方法が少なくなってきている。とらえ方が様々であるし、過去を強調しても関心を示さないといったことが反映している。
- 方法の模索
- リーダー形成の必要:リーダーを市民の間に育てる。住民リーダーをどう育てるのか?促進役のリーダー育成が重要である。
方向
- リーダー用手引き:リーダー研修会用の手引きが必要である。企業・市民・成人男性など分野階層別に手引きが必要である。
- 量より回数:市民むけには、ボリュームが多いと抵抗感があるので、うすい物を頻繁に提供する。(時事、タイミングなどを考慮して)
- 広報紙の活用:市政だよりなどには、コラム的に掲載されていて後でまとめて冊子にするとか、シリーズ物を重視していくことも必要である。
図書資料室への提言
- 人権啓発課、企画課が全体的に人権啓発冊子等の把握ができるようになっているか確認する必要がある。
- 直接住民とふれ合うセンター(人権センターや女性センター)などへの収集活動が必要である。
- 教材の収集
意見交換
- 最近、啓発に関わる予算が減少傾向にあること。
- 紙媒体からインターネットへと移行傾向にあること。
- 研究所としてどこまで何を収集するのか?
- 保存・活用をどうするのか?
- 評価をどうするのか?
- どの対象者をターゲットにするのか?(市民全体なのか、関心のある人なのか、リーダーなのか)
など意見が出されたが、意見交換の中で重要な情報をいただいた。10年近く前から「近畿地区人権同和行政促進協議会」という組織が行政機関で作られており、年1回研究集会を実施している。その折りにそれぞれの府県市町村が作成した啓発資料を持ちより提供しているということである。残念ながら2007年は1月24日に終了している。来年は、大阪開催とのいうことなので、是非とも資料収集に出向きたい。
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