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研究所通信、研究紀要などに掲載した提言、主張などを中心に掲載しています。

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2008.01.28
意見・主張
  

2008年を迎えて

寺 木 伸 明(部落解放・人権研究所理事長)

 あけましておめでとうございます。
 昨年も、本研究所の活動にご協力・ご支援いただき、厚く御礼申し上げます。年頭にあたりまして一言ご挨拶申し上げます。

 私は、昨年の年頭のご挨拶のなかで、安倍内閣のもとで教育基本法が改悪され、さらに憲法第9条第2項(陸海空の戦力不保持と国の交戦権の否定)の改悪への動きが懸念され、戦後、平和を支えてきた屋台骨が崩されるかもしれない瀬戸際に立たされていると認識しなければならないのではないかと、指摘させていただきました。

 昨年7月29日の参議院選挙では、安倍首相率いる自民党が惨敗し、民主党が躍進して参議院の与野党逆転が起こりました。そのうえ、年金問題や相次ぐ閣僚の不正問題、不適切発言などもあって、9月12日に突然、安倍首相が辞任表明し、同月26日に福田内閣が成立するという事態が生じました。こうした動きの背景には、小泉・安倍と続いた内閣の格差拡大路線や憲法改悪路線に歯止めをかけたいという多くの市民の願いがあったのではないかと思われます。さらに、昨年11月18日に行われた大阪市長選でも、民主党の推した平松氏が、自公の推した関氏を破って当選しました。

 アメリカのブッシュ政権が引き起こしたイラク戦争も、その誤りがますます明らかとなり、アメリカ国内でも支持を失うとともに、かつてイラク戦争を支持したイギリスやオーストラリアなどでも政権交代を余儀なくされ、不支持の方向に変わってきています。

 私たちは、今後も油断することなく、今の流れをさらにいい方向に向けていかなければなりません。
 そのためまず、人権侵害救済法案をさらに多くの市民の知恵を結集して成立させ、国連においては「職業と世系に基づく差別」の撤廃に向けて大きな前進が勝ち取られるように国際的な連帯をさらに強めていくことが求められています。

 その他の人権課題も含めて、部落解放・人権研究所は、皆様方とともに研究・啓発活動を通じて、いっそう努力を傾注していく所存であります。
 どうぞ本年も、倍旧のご指導・ご鞭撻をたまわりますよう、お願い申し上げます。

各部室の抱負

〈総務部〉
 今年は世界人権宣言60周年、部落解放・人権研究所も創立40周年を迎えます。節目の年にあたり、「何かと忙しくなるぞ」と武者震い(?)しています。今年も人権についてホットな情報発信ができるよう頑張ります。よろしくお願いします。

〈啓発企画室〉
昨年度もさまざまな講座をしてきましたが、中でも東京講座は「人権啓発東京講座」が第20回を迎える記念すべき年でした。そのことを踏まえ、今後「東京講座修了生ネットワーク」(仮称)の構築を目指そうとしています。
 そして、今年は「世界人権宣言」60周年という節目にあたります。
 時を追うごとに深化し、広がりを見せる「人権」という概念。そんな激しい時代の動きに取り残されることなく、また、吹き荒れる逆風に流されることなく、今年もさまざまな啓発活動を進めていこうと考えています。

〈研究部〉
 部落問題に関する意識調査の研究事業、『CSR報告書』(2006年版)と人権記載調査研究事業等の報告書、『史料集 長吏文書』を近く発刊します。2008年度は、大阪の部落史編纂事業の最終年度です。また「社会的排除」の視点から「地域就労支援事業における就職相談者実態調査」等を進めていきます。

〈図書資料室〉
 部落解放・人権研究所図書資料室(りぶら)では、部落問題、人権関係図書資料の専門図書館として情報収集と発信を行なっています。全国の各自治体が発行している人権啓発資料なども収集しております。学校や職場でのレポート作成、資料づくりの際にお役立て下さい。
 図書資料室(りぶら)は、どなたでもご自由にご利用いただけます。資料の閲覧、貸出はもちろん、人権問題についての学習相談もお受けしております。また、ご自宅から、インターネットで蔵書データ、文献データ等を検索することができます。お電話による学習相談もお受けしていますので、お気軽にご利用下さい。
 本年も、みなさんの一層のご利用をお待ちしております。

〈編集販売部〉
 2008年は、月刊『ヒューマンライツ』創刊20年を迎えます。その前身は『社会啓発情報』という名称で隔月刊でした。研究所創立20年を機に『ヒューマンライツ』と名称を変更し、月刊誌となったわけです。今年もみなさまに興味を持って読んでいただける内容にしたいと思います。また、本年、研究所創立40周年を記念してシリーズ『部落史研究からの発信(仮)』3部作の刊行準備を開始しています。部落史研究において重要なテーマを取り上げて論点の整理と課題を提示する企画で、およそ60名もの執筆者にご参加いただく予定です。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。