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2008.07.17
意見・主張
  

 2008年5月8日、人権啓発ビデオ2008年作品『パワー・ハラスメントと人権―見直そう、職場と家庭の人間関係』の完成試写会が行われました。企業の人権担当者など127名の方の参加を得、盛会となりました。制作委員や協力者、監督らからコメントが添えられる中、駆けつけた斉藤役・北川肇さんと安西役・森山友祐さんからも撮影を通して感じたことなどが述べられました。

 本稿では、2007年度人権啓発ビデオ制作委員会の委員を委嘱され本作の制作に参加した立場から、本作のご紹介を兼ねて、その過程で感じたことを少し述べたいと思います。

 パワー・ハラスメントと人権―見直そう、職場と家庭の人間関係年度当初、事務局の方から「今回は"職場と人権"をテーマに"パワー・ハラスメント"を取り上げたい」とのお話がありました。パワー・ハラスメントに関する啓発ビデオは既に数作品が販売されており、人権啓発ビデオ制作委員会が制作するのであれば、既存の作品に見られる「パワー・ハラスメントはコミュニケーションの問題である」という視点ではなく、「人権」の視点からパワー・ハラスメントを取り上げてはどうかという提案を私からさせて頂きました。

 委員が考えるパワー・ハラスメントについて相互に意見交換をしながら、今回初めて制作会社を公募し、委員の皆さんと共に応募のあった各社のシノプシスを審査しました。その結果、 (株)元気な事務所が制作することになりました。

 そこからがスタートで、企業の職場におけるパワー・ハラスメントの現状とその起きる背景、パワー・ハラスメントの研修が何故必要なのか、などについて富士火災海上保険(株)での研修例などをお聞きしながらシナリオをまとめていきました。

 研修受講者が、自分もパワー・ハラスメントをしているのではないか、あるいは受けているのではないかと思えるようなリアリティのあるドラマにすることに留意しながら、パワー・ハラスメントが何故起こるのか、パワー・ハラスメントは深刻な人権侵害であり、時としてメンタルへルスの問題となり、最悪の場合職場や家庭をも壊してしまいかねない問題であるということを感じて頂けるようなドラマになったように思っています。

 そして、今回の作品の特徴としては、『学習の手引き』に「60分」と「90分」の研修例や「ワークシート」「チェック・テスト」「ふりかえりシート」などの資料が準備されており、講師の方がパワー・ハラスメント研修初心者でも、職場などの研修に本作をご利用いただきやすいようになっていることが挙げられます。

 今、各職場ではメンタルへルスが問題となっており、その原因のひとつにパワー・ハラスメントがあると言われています。職場の業績の向上、モラール・アップのためには人権が尊重された職場であることが条件です。

 今や企業や組織は、当事者個人の問題としてではなく、従業員一人ひとりの人権を守るための雇用管理上の問題として、パワー・ハラスメントの防止に取り組んでいく必要があります。本ビデオを使った研修が、一人ひとりがやる気を持って働くことが出来る、パワー・ハラスメントの起こらない、お互いに信頼・信用できるような職場環境作りの一助になることを切に願っております。

(大阪同和・人権問題企業連絡会専務理事 松岡健司)