東京・町田市議会が規制求め意見書
地域安全に関する意見書
インターネットの普及は市民生活に多くの恩恵をもたらしている。しかしその便利さは、人々の幸せに貢献する形であるべきであり、私たちは常に人権に配慮した活用を心がけながら、情報通信技術の発展を考えていく必要がある。
ここ数年の間に、地図情報に併せてその地点の実写画像を提供する企業が複数登場している。
一例として、本年8月に運用を開始したもの(「ストリートビュー」グーグル社の地図検索サービスの機能)は、地上2.5mの高さからの周囲360°と上下の「風景」を見渡せる無料サービスである。
画像撮影に際し、被写体となる地域や個人への事前告知も撮影告知も公開許可願いもなくインターネット上に公開された。画像には、民家やその家庭の私物、車、敷地内の様子、通行人や自宅内にいる人の姿などが写り込み、自動でぼかすとされた人の顔が判別出来るものや、車のナンバー、表札の文字が読み取れるものも少なくない。空き巣や振り込め詐欺等の犯罪に悪用される危険性、児童生徒の通学路や教育施設等に防犯上の不安を生むとする声もある。
問題のある画像については利用者から申し出れば削除に応じているが、そもそもインターネットを利用しない人に対し、自宅等が世界に公開されている現状が十分に行き渡っていないという現状もある。
見知らぬ土地への訪問や待ち合わせ等に有用との意見の一方で、生活空間である地域、民家の画像を無料で誰でも閲覧可能とすることに対するプライバシー上、防犯上の問題があるという声もある。便利なものは悪用するものにとっても便利なのである。
海外では欧州連合が、グーグルの「Street View」に懸念を表明するなどし、非公開の国が多く、一部の国で観光地や大通のみの公開にとどめるなどしており、居住地域への影響のない配慮がなされている。アメリカではプライバシー侵害の裁判も行われている。
以上のことから、町田市議会は政府および関係機関に、以下を求める。
1. 当該サービスにつき国に寄せられた意見の実態調査をはじめ、現状把握に努めること。
1. インターネットを利用しない国民に、必要な広報活動を行うこと。
1. 住居専用地域の公開の適否につき、国民の意見聴取の上、事業者に対する指導を行うこと。
1. 個人や自宅等を無許可で撮影し、無断で公開する行為につき、都道府県迷惑防止条例上の迷惑行為として加えることを検討すること。
1. 必要に応じて法整備を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
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