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2009.02.19
意見・主張
  

第29回人権・同和問題企業啓発講座を開催しました。

 去る9月24日、10月7日、大阪国際会議場において、第29回人権・同和問題企業啓発講座を開催しました。今回は、第1部の内容について、紹介します。

 第1部では、まず「企業と人権-世界人権宣言60周年の秋に」と題して、法政大学の江橋崇さんより、企業よる人権の取り組みについてご講演いただきました。国際社会における企業の社会的責任(CSR)に関する取り組みや、グローバル・コンパクトをはじめとする動きを、とりわけ東アジアにおける人権尊重の企業文化創造のために、人権・労働基準の遵守や、海外進出先での人権尊重の経営、さらにはサプライチェーンにおける人権の確保の重要性を強調されました。

 午後からは2会場に別れて開講しました。メインホールでは、近畿大学の奥田均さんより、「新『部落問題入門』」と題して講演が行われました。部落差別の現れ方として、土地差別問題を例にとりながら、忌避意識の構造について解説されました。部落に対する差別意識を背景として「同和地区出身者のように見られたくない」という忌避意識が形成されるのであるが、適切な部落問題理解が内部に根付くことで、忌避意識克服につながるという可能性を示されました。

 その後、社会保険労務士の八木裕之さんより、「パート労働者の人権と活用」と題し、近年の人材マネジメントに起因する人権問題の一つとして、パート労働者の処遇問題を取上げ、改正パートタイム労働法の内容を紹介されました。その上で、法改正を踏まえたパート労働者の活用のあり方の実例として、複数の社員区分の設定や勤務時間の柔軟化、人事評価・賃金制度の工夫、職務範囲の拡大、さらには正社員登用・転換制度の導入などを示唆されました。

 他方、会議室では、「実践!当社における人権の取り組み」と題して、株式会社ダイエーの安藤正彦さん、関西電力株式会社の柄川忠一さんより、各社での公正採用・人権研修の取り組みについてご報告いただきました。ダイエーでは、グループコンプライアンス研修の一環として人権研修を位置付け、E-ラーニングを活用しながら、独自のテキストや教材を用いて人権研修を推進していることをご報告されました。また、関西電力では、CSR行動憲章に「人権尊重と良好な職場環境の構築」を盛り込み、同和・人権研修体制を整備し、人権研修と公正採用を進めていること、特に、求人や面接の場面で、公正な採用・選考をはかるための留意点を示し、面接時に聞いてはならない質問などの実例を挙げながら、徹底を図っていることなどについてご報告いただきました。

 なお、当日の詳しい内容等については、当研究所啓発企画室(06-6568-1301)までお問合せください。