トピックス

研究所通信、研究紀要などに掲載した提言、主張などを中心に掲載しています。

Home意見・主張バックナンバー2008年度>本文
2009.02.19
意見・主張
  

中国四川省大地震被災者支援カンパの報告とお礼

(凉山彝族女性・児童発展センター 所長 候遠高)

今年5月12日に中国四川省で起きた大地震は大規模な被害をもたらしました。以前より中国国家民族事務委員会を通して少数民族との交流を続けてきた当研究所では、被災少数民族の方々の救援や復興の支援を研究所通信の紙面や高野山夏期講座の場を通して、皆様に呼びかけてまいりました。

その後、8月30日、四川省凉山州の彝族の人びとが集住する会理県付近を地震が襲い、再び大きな被害が出ました。私たちのカンパ要請に対して、合計215,969円が寄せられ、去る10月四川省凉山州にある凉山彝族女性・児童発展センターに支援金を送りました。同センターは四川省と雲南省を中心に貧困に喘ぐ女性と子ども、特にドラッグやエイズの影響を受けている人びとの自立支援を活動の柱においています。

今回、中央民族大学の潘蛟先生より紹介をいただき、集まったお金を同センターに寄附いたしました。以下は、同センターから届いたお礼の手紙の一部です。支援カンパをお寄せくださった会員の皆様、そして高野山夏期講座でカンパにご協力くださった皆様に、この場を借りてお礼を申しあげます。

「地震被害への寄附に大変感謝しています。この度の会理県地震で深刻な被害を受けた黎渓鎮には12の郷・鎮がありますが、中学校は黎渓鎮中学1校しかありません。12の郷・鎮の小学校を卒業した子どもたちが中学に進みたければ、黎渓鎮に行かなくてはならず、遠隔地の郷・鎮の子どもは寮に住まなければなりません。中国では小学校の授業料は無料ですが、初級中学校は授業料が必要であり、遠隔地の生徒ならば宿泊料や食費などの費用が必要になります。これは農村の貧しい家庭にとって、特に貧しい彝族の家族にとっては大きな負担です。そのため、貧しい家庭の成績優秀な彝族の子どもは授業料が払えないため中学に行くことができません。中学に行けないことは、高校にも大学にも行けないことを意味します。私たちのセンターでは、いただいた寄附を建物や家屋の修繕に用いるのではなく、奨学金として子どもたちの教育に投資したいと考えています。貧しい家庭の子どもが中・高等教育の機会を得ることは、一人の子どもと一つの家庭の運命を変えることができると信じています。具体的には来年度中学に進学を希望しているけれど、家庭の事情で授業料や寄宿舎費用が困難な被災地の生徒5人に、3年間、毎年1000元(約14,000円)を支給します。」