あけましておめでとうございます。
旧年中は、部落解放・人権研究所のためにご協力・ご尽力いただき、深謝申し上げます。皆様方のご支援によりまして、本研究所始まって以来の財政的危機のなかで改革を少しずつ進めてまいることができました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
さて、一昨年秋に起こったアメリカのサブプライムローンの破綻に起因する世界的経済危機が、改善されずに続いています。派遣切り、解雇、企業の倒産、格差社会の進行などが顕在化してきています。こうしたなかで日本社会では、ここ10年余に及ぶ年間3万人を超す自殺者、ネット上の深刻な人権侵害など、事態は依然として深刻です。
こうした暗い世相が続くなかで、昨年1月、アメリカでは初の黒人大統領が就任し、ブッシュ前政権のように軍事力にものをいわせて反平和・反人権・反環境の非協調路線を強行してきたアメリカも、大きく転換しつつあります。そのオバマ大統領は、昨年、チェコのプラハで演説し、核兵器廃絶に向けて一歩踏み込んだ発言を行い、平和を願う多くの人々に励ましを与えました。大統領のこうした一連の行動に対して、今後の期待も込められてノーベル平和賞が授与されました。
日本でも、自公政権による新自由主義政策、その結果としての格差拡大路線等に対する市民の不満が臨界点に達し、遂に昨年8月の衆議院選挙で民主党が歴史的大勝を遂げ、政権交代が起こりました。そのことにより定住外国人に対して地方参政権を付与するための法律や人権侵害救済法(仮称)の制定が政治日程にのぼってきています。民主党・社民党・国民新党の連立政権が、今後、真に平和・人権・環境保護をめざす方向に進んでいくかどうかは、私たち市民一人ひとりがどれだけ積極的に働きかけを行っていくかにかかっていると言えるのではないでしょうか。今夏に行われる予定の参議院選挙が、その最初の試金石になるように思います。引き続く、地方議会・首長選挙も大事な機会となるのではないでしょうか。
ところで、大阪府においては、橋下徹知事の主導で、財政再建のみを自己目的化しているとしか言えないような、人権や福祉・医療・文化などに配慮の欠けた政策が依然として推進されています。本研究所に対する補助事業や委託事業も、昨年度からついに皆無となり、研究所は特に財政面で苦境に追い込まれました。研究所では、こうした情勢を受けて一昨年から改革策を練り、順次、実施に移し、さらに抜本的な「改革方策」を策定し、その実現に向けて全力をあげてまいりました。
今年は、新しい時代にふさわしい研究所の将来像を明確にし、友誼団体の方々と連携・調整し合いながら、その改革を一層具体化してゆく所存であります。
どうぞ本年も、いっそうのご支援とご鞭撻をたまわりますようお願い申し上げます。
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