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2013.10.31
意見・主張
  

反ヘイトスピーチ、反レイシズムへ「のりこえねっと」発足


「沈黙は許されない!」。辛淑玉さんらの呼びかけで「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(のりこえねっと)が結成され、9月25日、東京・新大久保で発足記者会見が開催された。

  全国各地で在日コリアンを標的にしたヘイトスピーチ(憎悪を煽る表現)が広がっている。大阪・鶴橋で行われたデモ行進は、「私は今、皆さん(韓国人)が憎くて憎くて耐えられないです。ああ、本当に殺してしまいたい」「最後までそんなに傲慢にふるまうのなら南京大虐殺ではなく‘鶴橋大虐殺’を起こしますよ!」と拡声器を使って叫び続けた。

 記者会見では共同代表の一人である作家の中沢けいさんがヘイトスピーチの最近の動向を報告。2013年3月から8月までの半年間で確認できるだけで161件のヘイトスピーチ「行動」が行われ、参加人数が確認できる74件の「行動」に3,267人の市民が参加、地域的には関東、関西を中心に全国41の自治体に広がっているという。

  のりこえネットの設立宣言は、「ナチスのユダヤ人虐殺を想起させるこうした動きに日本社会の反応があまりにも鈍い」と訴え、「「言論の自由」の尊重という口実のもとで、この社会の多数派は、この卑劣で暴力的なヘイトスピーチを黙認し続けている」と現状を批判した。

 そして「ヘイトスピーチは、良心を持つあらゆる人々を傷つけるのだ。国籍も、民族も、性別も、出自も関係なく、すべての人間には普遍的な尊厳と人権があると考える人々の信念、そして、なによりも平和に生きようとする人々の精神に対して、言葉と物理的な暴力で憎悪を投げつけ、侮辱し、傷を負わせる。国際社会がこれまで長い苦しみの歴史の中で築いてきた、世界人権宣言にも謳われる普遍的な人権概念を攻撃し、その価値をあざ笑い、踏みにじる」とし、「これが、ヘイトスピーチの本質なのだ」と訴えた。

 のりこえねっとでは、差別を扇動するヘイトデモなどの実態把握、反差別・反ヘイトスピーチに取り組む団体や個人との連携、ヘイトスピーチ反対デモやインターネット上の差別扇動への警告、差別禁止法の立法化活動などに取り組む。また、ニコニコ動画を通じて「反ヘイトスピーチ」番組配信を準備している。趣旨に賛同される団体、個人そしてカンパを募っている。

 

詳細はURL http://www.norikoenet.org/