1995年から余裕教室で秋津小コミュニティルームを開設し、地域の自主活動を推進
習志野市立秋津小学校に着いた時、初めに目にとまったのが正門である。そこには、約1メートル四方の目立つプレートが貼り付けてあり、「学校と地域が共に学び、共に協力し合いながら、教育を進めている学校です。この目的に反する者は、立ち入りを禁止します。」と書かれている。2001年に起こった大阪府池田付属小殺傷事件を機に、校門を閉めて学校の安全を図ることが全国的には進んだ。しかし秋津小学校では、これまでの実績をもとに「学校を開くことで安全を図りたい」という基本方向が確認され、プレートの内容もそのことを反映したものであるということを後で「秋津コミュニティ」副会長の車育子さんからお聞きした。
1980年、東京湾の埋立地に集合住宅(分譲と公団賃貸)と1戸建てができ、あわせて秋津小学校ができ、現在、校区には約2850世帯・7500人の住民が住む。秋津小の児童数は1983年の1148人をピークに、2003年には319人まで減ったが、2006年度は352人まで増加しているという。
1986年の秋津小「用務員失職事件」を機に、PTAや地域の人の輪が深まり、1992年、秋津地域生涯学習連絡協議会が発足し、1995年には秋津コミュニティの改称し、現在、40ものサークルや団体が余裕教室4室を自主管理し自主活動している(詳細は岸祐司『学校を基地にお父さんのまちづくり』1999年、太郎次郎社)。私たちが訪問した時も、校庭内にある畑を耕している「うらの畑」や劇団「蚊帳の海一座」、「秋津合唱サークル」などの方々が三々五々集まってこられそれぞれの活動を始めだしておられた。いただいた資料によれば、コミュニティルームの利用状況は2005年度で1190回9598人である。
こうした活動は学校教育の中にも位置づき、学校おはなし会、校内音楽会、高齢者とのふれあい、クラブ活動、地域との合同運動会などさまざまに広がっている。それらをまとめた本が秋津小学校『今、学校がおもしろい!コミュニティ・スクール-秋津のきずな-』として11月に発刊されている。
近年の動きとしては、文部科学省委託事業「子ども居場所づくり」の一環で、放課後にサークルの取組み等を活かして「秋津・地域であそぼう」と題した、水彩画教室や算数教室、手芸教室、木工作づくり、ビーズで遊ぼうといった10教室が開かれている。こうした活動を通じて、子どもだけでなく保護者とのつながりも広がっているという。
また、文科省が進めるコミュニティ・スクールについては、「学校運営を主にコミュニティを創る新しい学校」で秋津小学校でも指定を受けたが、それは「スクール・コミュニティ」=学校づくり・子育ち・まち育てを三位一体で推進の「方法」であって「目標」ではないという興味深い視点が話された。
(文責:中村清二)