朝鮮王朝時代の身分制度は高麗時代よりも分化して複雑になり、大きく区分すると国王、両班、中人、常人、「賤民」(=賤人)に分けられる。「賤民」のなかでも、社会的地位や差別の受け方が多様であった。
本稿では、先行研究で採用されている史料を再整理、検討し、総合的に「白丁」身分の起源について論じる。「白丁」身分は「賤民」身分のなかでも最下層とされた集団で、起源に関する説は三つある。
前半となる今回は、<1>「北方異民族説」、<2>「杜門洞七二人忠臣たちの志操説」、<3>「楊水尺から始まった説」の三説を再検討した。