例年、「国際人権」を特集テーマとしてきた一二月号で、「人権」と毎年交互に特集することになった。今年度は最初の「人権特集」として、さまざまな議論を呼んでいる人権擁護法制について論点を整理し、特に司法救済に関わって、このところ部落差別の事案について相次いでいる重要な判決を解説する。
まず巻頭で内田論文が、人権擁護推進審議会答申に遡って人権擁護法案の背景と内容を紹介しつつ、法案批判を吟味、論点を整理した後、桜井論文は「松阪商業高等学校教員差別事件」、大川論文は「徳島自衛官部落差別事件」、河村論文は「大量連続差別投書・ハガキ事件」の各部落差別事件について、差別の加害事実と違法性がどのように認定され、糾弾をも含めた差別からの救済についてどのように判示されているか、解説する。
特集以外では、大阪府富田林市における「虐待する親」の回復のための「MYTREEペアレンツ・プログラム」に関する中川レポート、白丁の起源に関する徐論考の後半、国連改革の一環で人権委員会に代わって創設された人権理事会の動向に関する白石報告を掲載した。
最後に、前号(一七二号)特集の筆者、竹地潔さんについて、「富山大学経済学部助教授」とご紹介させていただいたが、「富山大学経済学部教授」と訂正させていただき、お詫び申し上げたい。(K)
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