地方自治体における子どもの人権擁護システムの構築
―川西市子どもの人権オンブズパーソン制度を例として―
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子どもの人権擁護や子どもの権利条約の普及などにおいて、近年、地方自治体レベルでの取り組みが注目されている。
とりわけ、子どもの人権オンブズパーソン制度など、子どもの人権擁護・救済に関する制度を地方自治体の条例に基づいて設置しようとする動きが、国連子どもの権利委員会の日本政府に対する総括所見・勧告(一九九八年)との関係において重要である。
しかし、制度そのものの基本構想、各地方自治体が直面する子どもの人権擁護の課題、さらには子どもの人権と自治体のまちづくり施策との関係など、地方自治体レベルでの子どもの人権擁護システムの構築にあたって、検討すべき課題も多い。
本稿は、兵庫県川西市の「子どもの人権オンブズパーソン」制度を一つのモデルとして取り上げ、その運営状況や制定過程などを概観し、今後、地方自治体レベルでの類似の取り組みにおいて必要とされる検討課題などを明らかにしようと試みたものである。