インターネット上における部落差別事件
―論点整理(部落解放運動は何を提起しているか)―
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今日、電子工学・情報工学の急速な進歩とともに情報化社会が加速し、一〇年前には語られることもなかったインターネットが国際社会に大きな影響を与えている。
インターネットの特色は、時間的・地理的無制約性、不特定多数性であり、匿名性や無証跡性である。また、情報発信や複製・再利用の容易性であり、場所の不要性などである。こうした特性を縦横に利用したインターネット環境下の部落差別事件に対しては、現実空間を前提としたこれまでの取り組み方では不十分であり、これらの特性をふまえた新たな取り組み方や課題克服が求められている。
インターネット上の部落差別事件の差別性・問題点、背景をふまえ、‡@匿名性の規制緩和、‡A具体的な法規制の必要性、‡B差別事象の発見・解決・救済システムの確立などをはかる必要がある。
一方、インターネットは、人権の伸長や部落差別事件を克服する取り組みを展開する上で積極的な役割も果たす。インターネットの特色は、それを積極的な方向で活用すれば部落差別事件克服にむけた取り組みの幅を大きく広げる。