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部落解放研究 138号掲載
執筆者一覧

小澤  温  大阪市立大学
岡本 祐三  神戸市看護大学
東野 正尚  大阪府総合福祉協会
富田 一幸  部落解放同盟大阪府連合会
鍋島 祥郎  大阪市立大学
小椋 孝士  法制史学会
柴田 昌美  地方公務員、部落解放・人権研究所会員
野口 克海  大阪府教育委員会理事
森田 康夫  樟蔭東女子短期大学
尾上 浩二  DPI(障害者インターナショナル)日本会議

編集後記

 本号は、新聞紙上でも最近よくとりあげられている「施設コンフリクトと人権啓発」を特集テーマにとり上げた。

 冒頭の小澤論文では、全国的な障害者施設に関わるコンフリクトの動きをはじめ、障害者福祉法制における市民と行政の役割、施設コンフリクトの状況、施設コンフリクトを生み出す社会意識、共感的な障害者観の形成要因、啓発のあり方について論述いただいた。

 岡本論文では、「介護保険市民オンブズマン機構大阪」の設立意義と課題について論述いただいた。

 市民オンブズマンの役割は「保険の利用者でもある市民が特養施設の現場に入り、施設と入居者の間に立って”橋渡し役””苦情や問題の調整役”となることによって、利用者の基本的人権を守り、施設が提供するサービスの質の向上を図る。施設という囲われた空間に外の空気をもち込み、一緒に改善していく」としている。

 市民が介護の現場に入って利用者と事業者の「橋渡し」をする取り組みは、今後、全国的な広がりをみせるだろう。

 東野論文は、福祉、医療現場でおこっている人権侵害状況をとりあげながら、福祉や医療従事者に求められる人権教育について提言する。

 「今、福祉や医療従事者に求められる人権教育は、単に一般的な意味での”人権啓発”ではない。利用者本位の福祉・医療の実行者としての優れた人権資質が求められているといえる。その意味で、福祉・医療従事者の養成過程全般にわたる人権の視点からのカリキュラムの見直しと、現任研修における人権教育カリキュラム作りが急がれる」と指摘する。

 ◎二〇〇〇年六月、社会福祉事業法が五〇年ぶりに改正され、社会福祉法とされたことなど一連の社会福祉制度の改革を厚生省は「社会福祉の基礎構造改革」と呼んだ。富田論文では、この「社会福祉の基礎構造改革」を部落解放運動は、どうとらえ活用していくのかについて論述いただいた。  (R)