編集後記
本号は、特集テーマを「法期限後の同和行政の基本的あり方」とし、2002年3月末に迫った現行法の期限切れを目前に、各地で議論がなされ、答申が出されるなど「今後の同和行政のあり方」をめぐる、動きについてご紹介する。
冒頭の高野論文は、広島県福山市で昨年3月に「福山市における今後のあり方について」の答申を取りまとめられたおひとりとして、今後の同和行政のあり方について、論述される。
国の人権政策の動きや他府県市の到達点を見すえつつ、部落問題を中心に、人権・同和問題の本質に立ち返ることの重要性を強調し、その意味で,これまでより幅広い視野に立って、法失効後の同和施策に関する基本的事項、当面する対策事業の見直しや,部落解放につながる総合計画を人権のまちづくりの視点ですすめていく上での基本的な考え方について論及している。
塩手論文は、「福岡市における今後の同和対策のあり方」(2000年12月7日)をもとに今後の同和行政のあり方について論述される。
「これからの同和行政の方向」では、「同和行政から人権同和行政への再構築」、「特別措置から一般措置へ」、「ものづくりから人づくりへ」を基本視点として揚げ、また、この中では、新たな施策として(1)同和地区内外の交流促進、(2)同和地区住民の自立支援、(3)人権侵害に対する救済のための相談窓口の設置、(4)集会所施設の機能充実、があげられているが、これを具体化する闘いが今後必要と指摘する。
村井論文は、同和行政を人権行政の一環として再構築していく基本方向と、「部落差別が現存する限り同和行政を推進する」という基本理念と同和行政の発展の方向について論述する。
◎私事ですが,本誌編集に15年以上、たずさわってまいりましたが、所内の移動にともない、その任からはずれることとなりました。読者のみなさまには、長い間、お世話になりありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
次号は、教育・地域特集を6月発刊予定です。(R)