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部落解放研究 141号掲載
論文:伊藤セツ

マイノリティ・ジェンダー統計は可能か

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 日本では、ジェンダー統計という認識も薄く、統計のジェンダリングに関する運動もはじまったばかりであるが、日本のマイノリティ統計をジェンダリングするという作業は、全国的規模での各種マイノリティ統計の空白という状況から着手しなければならないだけに、困難な作業である。世界の国ではカナダ、USA、UKにみられるようにセンサスそのものが人種マイノリティ統計になっている。マイノリティ統計は人権統計の範疇に入り、ジェンダー統計もまた広く人権統計というべきである。

 本稿はIMADR-JCの資料をもとに、日本のマイノリティ女性のジェンダー課題から、ヘッドマンらのジェンダー統計の手法を日本のマイノリティ・ジェンダー統計の作成に適用できないかという可能性をさぐろうとするものである。それには統計のユーザーからの課題意識に基づいた統計生産者へのはたらきかけが必要であると同時に、自前の小規模調査によって接近する方向も追求されてよいと考えている。