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部落解放研究 142号掲載
研究ノート:友寄景方

遂゚代の西浜とキリスト教(上)
―19世紀末、大阪基督教会の活動

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 本稿では、近代の大阪・西浜における、プロテスタント・キリスト教の一教派である日本組合教会に属した大阪基督教会の伝道活動について、その全体像を探る。1885年から1888年にかけて、大阪基督教会の信徒であった広瀬源三郎が中心となり、西浜・洲先町に住んでいた同教会の信徒・吉村源蔵の自宅を拠点に、西浜でキリスト教伝道が行われていた。

しかし、伝道に携わっていた大阪基督教会の信徒が、西浜の人々に襲われる事件が起こる。また、神社の祭礼に繰り出す布団太鼓を、洲先町の講義所に突入させられるということのほか、キリスト教を「邪教」と攻撃する公道会の「趣旨書」も出たためか、大阪基督教会による西浜での伝道は終わった。

この伝道活動は19世紀末のわずかな期間ではあったが、大阪府が1918年にまとめた『部落台帳』における西浜の「宗教」調査で、「基督教」は、戸数7戸・24人という数字があげられている。大阪基督教会の活動との直接的な関連は不明ではあるが、注目されてよいであろう。