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この翻訳は、国際NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)が、反人種主義・差別撤廃世界会議においてカースト差別をアピールするために作成した? CASTE DISCRIMINATION : A GLOBAL CONCERN ?と題する文書の翻訳である。
世界会議の準備プロセスでは、インドやネパールのダリット(被差別カースト)のグループ、日本の部落解放同盟、そして反差別国際運動(IMADR)やヒューマン・ライツ・ウォッチなどの国際NGOによる国際的なネットワークがはじめて形成され、協力して取り組みが行われた。
そして、南アフリカ・ダーバンでの世界会議では、カースト差別や部落差別を含む「職業と世系(門地)にもとづく差別」について言及した段落を宣言や行動計画に入れるためのロビー活動などが展開された。
この文書では、南アジアのカースト差別や日本の部落差別と同様の差別が、アフリカやその他の地域、さらにはイギリスやアメリカなどのインド系社会にも存在していることを明らかにし、地球規模の課題としてカースト差別への注意を喚起している。
NGOフォーラムと異なり、政府間会議の宣言や行動計画では、連帯した力強いロビー活動にも拘わらず、特にインド政府の強固な反対により、「職業と世系に基づく差別」は含まれずに終わった。
しかし、ネットワークは、地球規模の課題としてのカースト差別が多くの人々に認識され、また、協力をした政府もあったことを振り返り、未来志向の考えに立って今後を展望している。
この文書は、そのようなスタートにあたって、カースト差別や部落差別など、「職業と世系に基づく差別」についての国際的で、新たな認識を与えてくれる文書であるといえる。