「ポスト『特措法』時代」における同和行政のあり方を求めて、大阪府と関係市町は「同和問題の解決に向けた実態等調査」を実施した。この調査は、同和地区住民の生活実態調査や意識調査、大阪府民の人権意識調査をはじめ計八種類の調査から構成される、部落問題に関わるかつてない総合的な調査であった。本論はその一つひとつの調査概要や取り組みの経過を整理し、同調査の全体像を明らかにしたものである。
この調査はまた、これまでの部落問題に関する行政調査とは一線を画する斬新性を秘めたものであった。本論では、調査対象領域や調査方法、分析の視点などから、今回の調査の特徴点を明らかにしている。同時に、これら特徴点の背景にある部落問題認識について、調査委員として参画した筆者の問題意識を展開している。
なお本論では、調査結果に関しては言及していない。この点については、それぞれの調査報告書を文末に紹介しているので、それらを参照していただきたい。