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部落解放研究 144号掲載
執筆者一覧


小森 哲郎  北九州市立大学名誉教授

野口 道彦  大阪市立大学

佐藤  裕  富山大学

奥田  均  近畿大学

布引 敏雄  明浄女子短期大学

菅原  寛  松原市教育委員会

森田 康夫  松蔭東女子短期大学

西田 芳正  大阪府立大学

編集後記

 二〇〇一年度最後の紀要の特集は「各地の住民意識調査結果」である。「人権教育・啓発推進法」の成立を受けて、各地で差別撤廃に向けた教育・啓発が推進されていくだろう。その方向性を決める基礎的なデータが住民の意識調査である。

 小森論文は九州の町民意識、野口論文は京都での市民意識の分析論文となっており、それぞれに啓発の課題が提示されている。佐藤論文は大阪調査の経験を踏まえて、意識調査のあり方について問題提起をしている。

 奥田論文は二〇〇〇大阪実態調査の概要を報告したもので、その設計から調査、分析の特徴まで解説している。

 布引の「窓」は近世部落の一面を描きながら、差別の過酷さも伝えている。

 さて、今年度で「特措法」時代が終焉する。新しいステージに解放運動も研究所も臨んでいる。国際化、情報化の進展はめまぐるしく、経済不況は子どもたちの教育環境にも影を落とし、政治は人々に未来を指し示すことを放棄している。

 今後の研究所には、あらゆる人権侵害を許さず、全ての人間が輝く社会を実現する為の研究と実践が求められている。また、今こそ世界中の命が祝福されなければならないと思う。「安易な」憎悪ではなく、「困難でも」寛容や相互理解を目指したい。人権確立と差別からの解放を求めて、われわれは荊の道をあえて選択しているのだ。その人々の手許にいつもこの「紀要」があって欲しい。

 会員・読者の皆様とともに、新たな「戦争の世紀」から「人権の世紀」に向けて再び舵をきりたいと願う。(S)