人権教育において学力とは何かということについて、「何を教えるべきか」という内容論からではなく、「学校は指導の結果に対してどのような責任を持つか」という学力評価の観点から考察する。学校が何を教えようとも、その結果はすべての子どもに平等に保障されなければならない。だとすれば、それが実現できているかどうかを確かめること、すなわち、学力の測定と評価は学力保障において重要な位置をしめる。能力主義と平等の関係、日本における教育内容決定権の問題を整理した上で、具体的にどのように学力を評価すべきか、そのフレームワーク提示を試みる。最後に、新学力観における評価の問題を検討するとともに、新学習指導要領の導入によって生じる人権教育の新たな矛盾について考察する。