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書籍・ビデオ案内
 
部落解放研究 146号掲載
執筆者一覧

池田  寛(いけだ・ひろし)大阪大学

長尾 彰夫(ながお・あきお)大阪教育大学

鍋島 祥郎(なべしま・よしろう)大阪市立大学

山口 幸夫(やまぐち・ゆきお)原子力資料情報室

坂東  希(ばんどう・のぞみ)反差別国際運動日本委員会

佐藤  裕(さとう・ゆたか)富山大学

原 由利子(はら・ゆりこ)反差別国際運動日本委員会

藤井 寿一(ふじい・としかず)田辺市役所企画部市史編さん室

編集後記

 この四月から完全実施となった新学習指導要領(高校は次年度から)に基づき、総合的な学習が本格的に始まった。同時実施となった完全学校週五日制や学習内容の三割削減をめぐって、「学力低下論」が社会的にも大きな注目を集めている。今号はこれらの論争を視野に入れ、学力問題をどう捉えるかを特集とした。

 巻頭の池田論文は学校知に偏った学力論争を批判し、総合的な学習と結んだ地域生活における生活知の再生を通して、学校知と生活知の連結を提言する。長尾論文は、苅谷氏の学力の中身を問わない社会的不平等拡大論としての学力低下批判に対し、エンパワメントとしての学力論を展開する。鍋島論文は、「健全」な能力・業績主義と社会的平等を追求すべき人権教育の立場から、学力における結果の平等を保障するための学力評価について考察する。山口論文は、「自然の中の人間」の体験を通じて、地球市民として求められる基礎力を全的に学ぶ総合的な学習のあり方を提起する。

 既存の学力観を問い直しつつ、総合的な学習を我々のめざす人権教育の側に引きつけて、いかに豊かな内容を創造していけるかが問われている。

 個別論文としては、原田伴彦記念基金の支援を受けて参加した反人種主義・差別撤廃世界会議準備会合等、一連の国連会議での門地差別をめぐる議論について報告する坂東希論文、大阪府二〇〇〇年調査に基づいて、差別意識形成に対する差別の「状況認識」の影響を論じた佐藤論文の後編(前編は一四四号に掲載)を収録した。