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部落解放研究 147号掲載
滋賀県における融和運動と地域社会
―初期滋賀県昭和会の活動実践―

吉村 智博

 小論は、地域社会における融和運動の具体像、とくに初期滋賀県昭和会の活動実践と融和事業の内容に焦点をあてて、その歴史的意義について考察している。

蒲生、愛知、犬上、伊香、高島の五郡に点在する六つの部落を対象にして、その具体的な展開過程をおっている。融和運動史の現段階において、地域社会の歴史的特質と融和事業の内的連関を探りつつ、融和運動の推進主体の方策と実効基盤を明らかにする作業は重要な意味をもつ。

こうした視点で考察したところ、初期滋賀県昭和会は従来の社会事業、自治組織としての改善事業の限界を打開するために組織されていた。しかしそれは滋賀県の融和運動の出発という意味ではなく、むしろ一九二〇年代の地域融和団体を統括し、二〇年代後半〜三〇年代初頭にかけての融和事業を全面的に担い、合目的的、効率的に機能していった。