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部落解放研究 148号掲載
グローバル化時代の企業の社会的責任を考える

谷本 寛治

 企業の社会的責任とは、経営活動のプロセスに社会的公正性や倫理性を組み込んでいくことである。グローバリゼーションの光と影が交錯する中、企業活動を監視・評価するNGO、国際機関、経営者団体、国連などが新しい企業行動基準(環境、人権、労働などについて)を提示する動きが活発になってきている。

企業は社会的責任を果たすべきか否かの議論をする時代はすぎ、いかに果たすべきか、いかに経営戦略に組み込んでいくかが問われるようになっている。企業は株主のみならずステイクホルダー(従業員、顧客、環境、コミュニティなど)との関係の中で社会的に責任ある活動を行うことが求められており、企業経営を評価する基準も変化しはじめている。

企業が社会的・環境的に高いパフォーマンスをあげ、そのことが評価され財務的パフォーマンスの向上にも結びついていく、という市場社会のメカニズムが形成されつつあり、そのことが持続可能な発展(sustainable development)に寄与していくのである。