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部落解放研究 148号掲載
2001年東大グループ学力調査からみえてきたもの

志水 宏吉

 私たちは、子どもたちの「学力低下」の現状を調べるために、二〇〇一年度に関西の都市部で調査を実施した。もとになったのは、一九八九年に大阪大学のグループが実施した、同和地区を対象とする学力実態調査である。

そこで明らかになったのは、子どもたちの「基礎学力」低下、および二極分化の実態である。とりわけ、日本社会の階層分化状況を先取りしていると考えられる「地区」の子どもたちの悪化傾向は、「地区外」と比べてより顕著であった。

しかしながら、そうしたなかで、子どもたちの学力向上に大きな成果をおさめている学校(「効果のある学校」)の存在も明らかになった。それらの学校では、教育委員会からのバックアップのもとで、家庭・地域と一体となり、さらには他校との連携を積極的に推進するなかで「目にみえる成果」をおさめることができている。