人種差別撤廃委員会は、今年八月に、人種差別撤廃条約が禁止する「世系」に基づく差別に関し「テーマ別協議」を開催し、その結果、「世系」に基づく差別に関する「一般的勧告」を採択した。協議および勧告の対象は、カースト差別など、地位の世襲制度・社会階層性に基づく差別である。協議では、その被害の実態の聴取と委員による検討を行い、勧告では、差別の解消に向けた様々な措置を求めている。
「世系」に基づく差別の実態を反映した「一般的勧告」は、この種の差別に撤廃にあたって注目に値し、今後は、そこで示された諸措置の実現と実施が課題となる。
本稿は、「テーマ別協議」に至る経緯を記した後、そこでの議論の概要と「一般的勧告」の内容を紹介し、最後に、その意義を検討する。