執筆者一覧
村上 正直(むらかみ・まさなお)大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授
パトリック・ソーンベリー キール大学教授/国連人種差別撤廃委員会委員
北崎 豊二(きたざき・とよじ)大阪経済大学人間科学部教授
近藤亜紀子(こんどう・あきこ)2001年度部落解放・人権研究所嘱託研究員
山田 澄子(やまだ・すみこ)九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程
上杉 孝實(うえすぎ・たかみち)龍谷大学文学部教授
ダヴィド・マリナス エクス・アン・プロバンス政治学院政治学科博士課程/一橋大学
大学院社会学研究科博士課程文部科学省学費研究生
編集後記
人種差別撤廃条約における「世系/門地(descent)」に基づく差別の概念に部落差別は含まれない、とする日本政府の立場に対し、人種差別撤廃委員会が示す一般的勧告の意味は大きい。今年八月に同委員会のテーマ別協議が開かれたことから、「世系に基づく差別」が従来どう捉えられ、今回どのような協議を経てどのような一般的勧告がまとめられたか、を今号の特集テーマとした。
巻頭の村上論文は、世界的広がりをもつカースト差別とそれに類する世系差別の現状に基づいて行われた上記テーマ別協議、世系の社会的側面を重視する観点と具体的な差別撤廃措置を示した一般的勧告について詳細に述べる。それに対しソーンベリー論文は、人種と人種差別、世系差別の概念、条約の各条項の解釈とその実施に関し、人種差別撤廃委員会の一委員の立場から個人的見解を述べる。
個別論文は、次号で完結する北崎論文の続編、博物館のガイドボランティアを生涯教育の観点から考察した近藤論文、バーミンガム市の人種差別実態報告書の山田さんによる紹介の前編を掲載した。
なお、前号岸本論文の一四頁上段二行目、「一九九七年の世界人権宣言、ILO基本原則」は、「一九四八年の世界人権宣言、一九九八年の労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」の誤りであり、お詫びして訂正したい。(K)