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部落解放研究 151号掲載
特集

特措法後の人権同和行政序論
――基本的哲学と方向の考察――

炭谷  茂


 「地対財特法」が、二〇〇二年三月で失効したが、これは同和行政の終了を意味しない。一九九三年の同和地区実態調査で明らかになった諸課題は、近年の経済社会情勢を考慮すると、解決していないものが相当あるとみられる。

  この解決のためには基本的哲学を確認し、時代に合致した施策を推進しなければならない。それは、個別的具体的な人権向上の活動と、まちづくり手法の活用である。一方、日本の近年の人権問題として、社会からの排除、孤立による問題に注意しなければならない。

  この対策には、ソーシャル・インクルージョンの理念が根底になければならない。これらに対する具体的な手法として、イギリスのCAN(コミュニユティ・アクション・ネットワーク)の活動が大変参考になる。